ゾゾタウン、送料を小口「有料化」する意味 アパレル通販の革命児が方針修正

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前澤友作社長はあれから何を考えたか

もう一つは、従来500円かかっていた、即日配送のオプションサービスが無料になることだ。即日配送は通常配送以上にコストがかかる。ただユーザーにとっては、ほしい物が最短でその日のうちに手に入るようになり、利便性が高まる。

即日配送はスタートトゥデイと同様、自社で在庫を保管するアマゾンなども強化している、ユーザーニーズの高いサービスだ。スタートトゥデイでは今年3月から、東京都や神奈川県など関東限定で、即日配送サービスを行ってきた。

今後は昨年11月に稼働した新物流センターをフル活用して対応能力を高め、サービスの対象地域を関西にも拡大。中期的には自社倉庫を使わず、アパレルショップの在庫の商品を直接ユーザーに発送することで、全国での即日配送の実現も目指すという。

では小口の有料化と即日の無料化、これら2つの動きをどう解釈すればいいのか。

確かなことは、全体の商品取扱高が増えれば、スタートトゥデイが受け取る出店ブランドからの販売手数料収入が増えるということだ。

したたかになった価格設定

有料・無料のボーダーラインは3000円。この金額に達すれば、ユーザーは従来通りに配送料を無料にできるため、購入金額を3000円以上に上げようとする動機になりうる。また、ニーズが高まっている即日配送を無料化することで、購入頻度が活発化すれば、コスト増を上回る商品取扱高の拡大も期待できる。

舌禍騒動で、配送料金の扱いにはひときわ過敏になった、スタートトゥデイ。2年を経て”学習”したのか、今度は静かだが、したたかな価格設定で、ユーザーと相対することになりそうだ。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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