日本の大手銀行の再編は収益性向上に寄与するが、引き続き課題も《ムーディーズの業界分析》

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 住友信託銀行と中央三井トラスト・ホールディングスの統合により、約36兆円を超える総資産を有する国内第5位の銀行グループが誕生することになる。また、資産運用残高約58兆円、資産管理残高約181兆円を有する国内最大の信託銀行になり、三菱UFJ信託銀行株式会社(銀行財務格付けはC、預金格付けはAa2/P-1)を上回る規模となる。

一方、新生銀行とあおぞら銀行の合併については、本年5月14日に正式に合併交渉を解消し、代わって業務提携を結ぶ可能性があるとの発表があったばかりである。仮に、新生銀行とあおぞら銀行の合併が実現すれば、資産規模で約18兆円を有する国内第6位の銀行グループが誕生するはずであった。

これら2件の統合については、それぞれ異なる背景があると考えているが、いくつか共通するものもあると見ている。07年から08年にかけての世界的な金融危機の後、規制環境を含めた金融業界を取り巻く事業環境が一段と厳しさを増しており、邦銀の収益見通しも依然として厳しい状況にある。こうした中、統合は大規模なフランチャイズを持たない銀行が、収益力を強化していくための戦略の1つの選択肢であり、統合により事業規模ならびに顧客基盤を拡大し、今後の収益強化につなげたいとの思惑があるとみられる。

海外の主要銀行との比較において、日本の銀行の収益性は、低金利環境の継続を主因とし、依然として低い水準にある。今回の金融危機が起こる数年前まで、邦銀大手各行はこうした低収益性を打破すべく、高いマージンが見込める投資銀行業務の拡大、海外の証券化商品等への積極的な投資、不動産向けノンリコースローン、ならびにノンバンク関連事業への投資等、各行それぞれ比重の差はあったにせよ、これら業務に注力した。その結果、こうしたビジネスモデルは一時的にではあったにせよ、収益源の多様化と収益向上に寄与した。

しかしながら、金融危機以降、邦銀のほとんどが、投資銀行業務ならびに海外の証券化商品等で大きな損失を被った。邦銀の中でも、特に新生銀行とあおぞら銀行の損失は深刻であった。

また、高い収益を上げていた、コンシューマーファイナンス事業も、利息返還請求に伴う引当金の積み増し、ならびに今年6月の改正貸金業法の完全施行に伴う事業環境の悪化により、利益が圧迫されており、厳しい状況が続いている。

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