線路も道路も走る「DMV」どんな運転免許が必要か 鉄道の運転以外に資格が必要な車両がある
ここまで挙げてきたのは鉄道車両は道路を走るためにダブルライセンスを必要とするケースだったが、鉄道の線路上のみを走る車両でも動力車操縦者運転免許以外の資格が必要なものがある。蒸気機関車だ。
蒸気機関車の機関士になるには、動力車操縦者運転免許の一種である「甲種蒸気機関車運転免許」のほかに、ボイラー技士の資格(機関士は一級、機関助士は二級)が必要である。蒸気機関車は1人で運転できるものではない。石炭をボイラーに投入する機関助士が必要不可欠で、息が合わないと上手に運転できない。
筆者が以前、東武鉄道の「SL大樹」を取材した際、機関士は「電車の運転よりもはるかに難しい」と語った。蒸気機関車の運転は職人技で、免許を取得するだけではなく、その後の修練も必要となってくる。鉄道ファンや観光客の人気を集める蒸気機関車を動かす機関士。憧れの職業の1つだろうが、運転できるようになるまで、そして晴れて機関士になってからも大変なのだ。
鉄道免許が不要なケースも
一方で、鉄道の免許がなくても線路上を運転できるものもある。保線用のモーターカーなどだ。これは「鉄道車両」ではなく保線用の「機械」という扱いであるためだ。
例えば、雪が降る地域の鉄路には欠かせない除雪車。近年はディーゼル機関車によるラッセル車は減ってきており、主に除雪用のモーターカーが使われるようになっている。前者はディーゼル機関車の免許が必要ではあるものの、後者は前述の通り「機械」扱いなので、鉄道の免許は必要ない。
ただし、当然ながら誰でもいきなり運転できるわけではない。JR北海道に取材したところ、除雪用のモーターカーは社内の講習を受けた人のみが運転できるということである。また、モーターカーを走らせるためには、ほかの列車が入ってこないようにする「線路閉鎖」という手続きが必要だ。
鉄道の運転士というと「電車の運転士」が一般的なイメージだろう。簡単になれるものではないが、鉄道には電車以外にもさまざまな車両があり、それらを運転するにはそのための免許や資格が必要だ。線路上を運転するのは、責任が重いだけに大変なことなのだ。それだけにやりがいのある職業でもあるのだろう。
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