線路も道路も走る「DMV」どんな運転免許が必要か 鉄道の運転以外に資格が必要な車両がある
阿佐海岸鉄道は、普通自動車免許取得3年以上の人を対象に訓練生として募集していた。また、動力車運転免許と中型二種免許保持者を対象に運転士として募集していた。
両方のスキルがある人はさほど多くないであろうことを考えると、自動車免許の保持者を対象に訓練するのは現実的な方策だ。一方で、鉄道やバスの運転士のなり手が減っていく中、両方の免許を持つ人の採用、また育成をどのように継続的に進めていくかは、DMVが成功するうえでの課題となるだろう。
トロリーバスもダブルライセンス
「世界初の本格営業運転」をうたうDMV以外にも、日本唯一の車両でダブルライセンスを必要とするものがある。
ロープウェイやケーブルカー、電気バスなどさまざまな乗りもので絶景を楽しめることで知られる立山黒部アルペンルート。その中に「トロリーバス」がある。電車のように架線から電気の供給を受けて走るバスで、見た目はバスだが法規上は「無軌条電車」という鉄道の一種だ。かつては各都市で公共交通機関として運行していたものの、架線のあるところしか走れないといったデメリットから廃止された。
一方、アルペンルートでは排気ガスを出さない点が買われて存続した。以前は2区間あったが、2019年に「関電トンネルトロリーバス」が電気バスに置き換えられてからは、立山黒部貫光による「立山トンネルトロリーバス」が日本で唯一の存在だ。
トロリーバスは前述の通り「鉄道」だが、走る区間が公道であれば道路交通法に基づいて運行することになる。このため、運転するには鉄道の動力車操縦者運転免許の一種である「無軌条電車運転免許」に加え、自動車の大型二種免許も取得していなければならない。
かつては大型二種保有者の場合、無軌条電車運転免許の取得試験は免除だったが、現在は技能試験が必要だ。もしトロリーバスの運転士になりたいと思えば、大型二種免許取得者が立山黒部貫光に入社し、無軌条電車の講習を受けて免許を取得することになるだろう。ただし募集があればの話だ。
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