「悟空のきもち」子供の発想をビジネス化するワケ 66万人キャンセル待ちヘッドスパの「実験」とは

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「悟空のきもちでは『女性が男性社会に勝つ』をテーマにし、女性だけの会社が人気で日本のトップのブランドになった。今度は『子どもが大人に勝つ』に挑戦してみようと。THE LABOの方針は、小さい頃に夢見たことを全部やってみるということ。そして夢は必ず実現するということを実証し、子どもたちに自信を与えたいと思いました」(永野氏)

福岡市の離島に設えた「無人島のツリーハウス」。一般を対象とした宿泊プランも企画中とのことだ(写真:悟空のきもち THE LABO)

例えば福岡市のある離島を舞台にした「無人島のツリーハウス」プロジェクト。樹上の小屋は台風などのたびにメンテナンスの必要があるものの、太田さんらプロジェクトのメンバーが時々訪れては、自ら釣った魚などを糧とする、本格的なサバイバルを行っているようだ。エイを焼いて食べたこともあるらしく、「お腹が空いているからおいしかった」と目を輝かせる太田さん。生きているという実感が、彼らの活力となっているようだ。

前述のマスクパンは、メンバーの1人であるパン好き女子が「パンの匂いを嗅いでいたい」という発想を基に始めたプロジェクト。彼女が大好きな「Melon de melon」のメロンパンに、耳にかけるゴムをつけただけのものだが、飛沫を防ぐ性能は通常のマスクと同等以上にあることが実験で証明されている。

「コロナで暗くなっている社会を、ちょっとだけ笑顔にしたかった」という永野氏の思いから開発を進めた同商品。日本より先に世界が注目した。世界中からアクセスがあり、20カ国でニュースに取り上げられたという。購入は国内に限られるが、購入者の約6割が在日外国人と推測されるそうだ。

ランドセルをキャリーに変身するスティック

上記の例のように、THE LABOでは発案者が企画して商品化まで進めるのがセオリー。メンバー同士で話し合ってアイデアを生み出していくというよりは、1人で考えに考え、コンペのように競い合って、優れた企画に結びつけていくやり方だ。

そして役割分担はほとんどなく、試作やホームページ制作や商品化・発表までの一連も基本的に企画を考えたメンバーが、サポートを受けながら進めていく方式で、経験を重ねていく。すべてをやってみることで、企画の精度が飛躍的に向上するという。

ランドセルをキャリーとして使えるようにする「さんぽセル」。230gと軽量にこだわった。ランドセルに装着しておき、キャリーにしたいときに上下を引っ張って伸ばすだけ(筆者撮影)

11月10日には、太田さんが栃木県日光市の廃校に集う子どもたちとともに開発した「さんぽセル」(3960円)が予約受付開始。発売1週間で約1000個の予約が入っているという。太田さんによると、今、小学生が持ち運ぶ学校の教材は重いときで10kg以上になり、成長期の子どもたちのランドセル症候群と呼ばれる健康被害も心配されているという。そこで、子どもたちへのヒアリングを行い、ランドセルに取り付けてキャリーのように引っ張って運べるスティックを一緒に開発した。

「1人が持っていれば周りの子どもたちも欲しがるので、あっという間に広まるのではないかと期待しています」と永野氏。

収益が出れば、プロジェクト発案者である太田さんが決められた割合に応じた額を受け取るが、一部は日光市の子どもたちに還元される。太田さんは貯めたお金で南極に行くのが夢。そして日光の子どもたちは、廃校に雨の日でも遊べるゲームルームをつくるそうだ。

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