横浜銀と三井住友信託が投信分野で共闘 地銀トップが欲しがった3つのメリット

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こうした期待は、多くの地方銀行に共通しており、今後、この提携に参加する地方銀行が増えることも予想される。ただし、三井住友信託銀行の投信販売ノウハウを移植できる地方銀行は、まだ多くないかもしれない。

大半の地銀は投信残高1000億円以下で、扱っている投信も数十本程度。2兆円もの投信残高があり、200本以上の投信を扱い、そのうえ都市部の富裕層の顧客が比較的多い、三井住友信託銀行の販売手法を吸収できる地方銀行は、横浜銀行など都市部の大手に限られるのではないか。また各行専用投信が開発されたとしても、規模が小さければ運用成績が振るわず、販売が伸び悩むこともありえよう。

日本でも信託報酬は低下するか

さらには、信託報酬による利益の取り込みについても、先行きには懸念がある。今のところ、日本の投信の平均信託報酬は上昇傾向にあるが、米国の信託報酬は低下傾向にある。顧客層の投信選別がシビアになり、米国同様に高い信託報酬の投信は敬遠され、低い信託報酬の投信が好まれるようになれば、日本の平均信託報酬も低下しかねない。

 なお、新たな資産運用会社の設立日や出資比率については、まだ定まっていない。今来月中にも決まるとみられるが、実際に設立されるのは、15年に入ってからになろう。

(撮影:梅谷秀司)

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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