乗るならどっち?「出口に近い」と「空いてる」車両 「混んでいる車両」アプリで情報配信広がる

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現在、東西線では号車ごとのリアルタイムの混雑状況は配信していないものの、どの駅がどの時間帯に混雑するかはわかるようになっている。これにより、混む時間を知らせて乗客に分散乗車を促すという行動変化の目安ができた。

その中で新型コロナの感染が拡大し、今度はコロナ対策として混雑回避サービスが求められるようになってきた。そこで、リアルタイム混雑状況配信を5路線で行うようになったというわけだ。

これまでは一部の駅で利用者が特定の車両に集中しており、列車の遅延にもつながっていた。「混雑が平準化すれば、結果として遅延対策にも役立つと考えられます」と東京メトロは説明する。

「便利な車両」を示す情報も

一方で、駅には「のりかえ便利マップ」が掲出されている。各駅の階段やエスカレーター、エレベーターが何両目に乗れば近いかの案内図で、ベンチャー企業アイデアママ(現ナビット)の創立者、福井泰代さんが考案したものである。東京メトロは営団地下鉄時代の1998年、このマップを駅に掲出するようになった。

福井さんはベビーカーを押しながら移動する際に、駅で苦労した経験からこのマップを作り、営団地下鉄で採用された。その後多くの路線でこのマップは採用されるようになった。現在は「東京メトロmy!アプリ」でも見ることができる。

東京メトロの「のりかえ出口案内」。出口や階段、エスカレーターの位置に近い車両がわかる(編集部撮影)

実は筆者は、大学時代にこの「のりかえ便利マップ」作成のアルバイトをしたことがある。何両目で降りれば階段が近いのか、どの出口からどこにアクセスできるのかなどを実際に乗って調べたり、現地で案内表示を写真に撮ったりした。

このマップにより、列車に乗る場合はあらかじめどの車両に乗れば降りるときに便利かが簡単にわかるようになった。とくにベビーカー利用者や荷物の多い人などには重宝される情報だ。

だが、いつも同じ駅を使用する人がどの車両に乗れば階段やエスカレーターに近いかを把握しているのと同様、マップを見れば便利な車両がどこかわかるため、多くの人が特定の車両に集中する可能性もある。空いた車両に乗客を誘導しようとする混雑状況の配信とは、ある意味で逆ともいえる情報だ。

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