外国人を囲い込め!銀座三越で市中免税店 店内で品を選び、空港で受け取る

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では、なぜこれまで存在しなかったのか。日本空港ビルの鷹城勲社長は「制度や手続きに大きな問題はない。ただ日本では、空港会社が空港型免税店を経営する場合が多く、市中を意識してこなかった。訪日観光客も少なかった」と振り返る。実際に、百貨店関係者は「具体的には検討しなかった」とし、今まで申請された例はないという。

もっとも、制度面では容易でない点もあるようだ。

タックスフリーショップの根拠法が消費税法で、管轄が国税庁なのに対し、デューティフリーショップは関税法で、財務省関税局。特に後者は関税法上、「保税蔵置場」としての許可(42条)や「保税運送」の承認(63条)を、該当する地域の税関長から得る必要があり、手続きが面倒だ。

また商品は「外国貨物」として「保税地域」にしか持ち込めない(30条)ため、事実上、国際空港で出国手続きを終えて商品を買い、渡してもらうことしかできない。

ある業界関係者は、「空港内で、引き渡しのスペースを確保することが難しく、これが阻害要因だった」と打ち明ける。さらに「税関が危惧するのは、免税で販売された商品が市中に流出してしまうことで、保税運送の承認が厳しい」(同)点も挙げる。

どんなオペレーションになるか

今回の三越伊勢丹の場合、空港運営会社の存在が大きかったようだ。空港内では、商品引き渡しの場所はむろん、空港周辺を含め、免税品の倉庫も保有している。銀座店では、一定の商品をショールーム的に並べ、顧客から注文された後、空港内や周辺の倉庫から搬入し、出国する顧客に渡す。こんなオペレーションが想像できよう。

4社は9月の合弁設立後、許可申請する方針で、問題なく許可される公算が大きい。三越銀座店は8階全フロアを、デューティフリーショップに衣替えする。同店舗の売上高は694億円で、うち8階が占める比率は1割。今後問われるのは品ぞろえの目利きであり、外国人にも魅力的な売り場作りだろう。

超一等地にある市中免税店が成功するか否か、インバウンド需要の獲得合戦にも大きな影響を与えそうだ。

「週刊東洋経済」2014年8月30日号<8月25日発売>掲載の「核心リポート04」を転載)

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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