成長率低い百貨店業界で2割成長の健闘
百貨店不況がこれまで叫ばれてきたが、ようやく下げ止まりの兆しを見せつつある。国内の主な百貨店が加盟する日本百貨店協会によれば、2013年1~12月における全国百貨店の売上高はおよそ6兆2171億円。店舗数調整後の値では前年比1.6%増で、これで2年連続のプラス成長となった。
国内の百貨店がようやく回復基調を見せ始める一方で、好調に業績を伸ばしている店舗が海外にあることをご存じだろうか。2013年度に売上高6億シンガポールドル超えを記録し、5年前と比較しておよそ2割の成長となった、髙島屋の子会社「タカシマヤ・シンガポール」。親会社連結業績の復調を、海外から支えている。
インターネットコマースの普及により消費者の買い物の仕方が変わり、また余暇時間の過ごし方も多様化。さらに、街に点在する小型専門店人気の高まりもあり、窮地に立たされた国内の百貨店であったが、シンガポールではそうした構造的な変化は起こっていないのだろうか。
タカシマヤ・シンガポールの副店長を務める吉野雅博氏によると、「シンガポール国内におけるインターネットコマース市場規模は、国内全体の小売り売上高の1.5%と推測されています。また、国土が狭いので余暇にショッピングを楽しむというライフスタイルの方が多いです。そうしたことから、今まではインターネットコマースの影響はそれほど受けていないと考えています。しかし、海外の商品をインターネットで買っている若い方が増えていることや、スマートフォンの普及率が87%ということを考えると、今後、ソーシャルメディアの有効活用などは強化していかなければならないと考えています」。
また、小型専門店との競争については、「シンガポールでは、セレクトショップと呼ばれる業態が他国と比べて成長していないように感じる」と言う。「この国は人口が少ないため、マーケットサイズが限られている。しかし、賃料は高い。そのため、一部のお客様だけにターゲットを絞った業態は商売にはなりにくい。特に若年層を狙った店舗は難しいはず」。
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