スバル「WRX」は何がスゴイのか 実用と走りを両立させたスポーツ・セダン

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新型エンジンの開発を取りまとめた佐々木礼さんが手に持つのは、「WRX S4」に積まれる新型エンジンに使われたピストン

開発は「WRX S4」と同時だが、「WRX STI」の心臓部には新世代ボクサー・エンジンではなく、あえて熟成された従来型エンジンを搭載している。新型エンジンはスクエア型といって、環境性能と普段の扱いやすさを高めた設計なのに対して、従来エンジンはパワフルさを追求した高回転型スポーツ・エンジンだ。大量の空気を取り入れるための口が目立つボンネットの下には、最高出力227kW(308PS)/6400rpm、最大トルク422Nm/4400rpmを発揮する2Lターボ付き水平対向4気筒ユニットが潜んでいる。

「WRX STI」の開発の目的は、「パワーとコントロールの究極バランスを追求し、パワーを使いきって意のままに操る愉しさを実現すること」であり、「クルマが自分の手足の延長になったような一体感の実現」と、スバルは主張する。

大人っぽい落ち着いたデザイン

生粋のスポーツ・セダンである「WRX STI」には、6速MTのみが組み合わされる

運転席に滑りこむ。先代モデルではスポーティネスを狙いすぎて、少々子供っぽさも感じられただけに、新型がインテリアの質感を高めて大人のスポーツ・セダンらしい内装に進化したことは大歓迎だ。グリップ部にディンプル加工が施された握りやすいステアリング・ホイールは「WRX S4」と共通だが、サテンメッキの加飾とSTIのゴロは「WRX STI」のみだ。目に鮮やかなSTIカラー(ショッキング・ピンク!)のシフトヘッドには、6段MTのシフトゲートが刻まれている。

”本気のスポーツ・セダン”であることを証明すべく、試乗ステージには富士スピードウェイの本コースが選ばれた。エンジン特性を3段階で変化させることができるSIドライブのなかから、パワートレインの特性を最大に特性を引き出せる「S#モード」を選ぶ。シフトヘッドを1速に入れて、アクセルを踏み込む。モータースポーツの世界で磨きぬかれたパワートレインの加速の立ち上がりの鋭さについては語るまでもない。

加えて、コーナリング時の操舵に対する応答や姿勢変化がわかりやすく、ハイスピード・ドライビングでもあつかいやすい。コーナリング時にステアリング・ホイールを切ると、その分だけ素直に姿勢を変えていく素直な感覚は、スバルのスポーツ・セダンの伝統でもある。クルマを曲げる加速させるといったドライバーの意思をクルマに素直に伝える上に、反対に路面からの情報を豊かに伝えてくれるのも嬉しいポイント。高速での安定性だけではなく、低速域でのコントロールしやすさにもつながる。

少々、ウンチクを傾けると、一般的な乗用車ではステアリング・ホイールを切ってから実際に横Gが出るまでにわずかな遅れがあるのだが、「WRX STI」ではボディ剛性の向上とサスペンションの最適化により、操舵への応答性が高められているから素直に感じるのだ具体的には、シャシーの曲げ剛性で30%向上、ねじり剛性で40%も向上させており、操舵に対して横Gが発生するまでの遅れを小さくすることができたという。

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