ジャガー・Fタイプクーペに乗ってみた!

市販スポーツカーを50年ぶりに一新

100km/hに速度が高まると、リアのデプロイアブルリアスポイラーがせり出して、空力性能を高めるのも気分だ

ジャガーといえば、ラグジュアリー・サルーンであるとともに、スポーツカーのイメージも強い。だからこそ、「Eタイプ以降、50年以上に渡って新型のピュアスポーツカーは出さなかった」という言葉には首をかしげてしまった。クルマ好きの視点からすれば、過去にはル・マン24時間耐久レースを始めとする数々の有名レースで勝利し、ベントレーやアストンマーティンといった老舗スポーツカー・メーカーの座を脅かした歴史がある。1980年代には、イギリスの名ドライバーであるトム・ウォーキンショーのチームが「XJ-S」でツーリングカー選手権を席巻した。「XK」もまた、流麗なスポーツカーだったからだ。

2シーターのピュア・スポーツカー

だが、新しいジャガーのスポーツカーが「Fタイプ」を名乗ることからもわかる通り、名車として名高い「Eタイプ」の後継という位置づけであり、コンパクトな2シーターのピュア・スポーツカーなのだ。クーペに先んじて登場した「Fタイプ」はソフトトップで、潔いまでに実用性を切り捨てて、あくまでスポーツカーらしいスタイリングにこだわった。

6月、日本での販売を開始したのはハッチゲートを備えるファストバック・スタイルの「Fタイプ・クーペ」だ。記憶をたどると、原型となったコンセプトカー「CX16」はそもそもがクーペスタイルであった。2011年のフランクフルトショーで登場した際に、同社のデザイン・ディレクターを務めるイアン・カラム氏は以下のようにコメントしている。

「ジャガーがスポーツカー・メーカーであることを、皆さんに再確認していただきたいのです。過去にもSS100、XK、Dタイプ、Eタイプといった素晴らしいスポーツカーを送り出しており、これからも素晴らしいスポーツカーを作る意気込みを持っています。私自身CX-16をデザインするにあたっては、余裕のあるパワーで長距離のドライブにも耐えるGTの要素を持つXKシリーズと比べ、ドライバー志向で走る楽しみを与えてくれるモデルを想定し、それに相応しいスタイルを与えました」

実際に世に送り出された市販版は、カラム氏がこだわったスポーティなスタイリングはコンセプトカーから受け継がれている。4470×1925×1315mmのスリーサイズと、低くワイドなボディを持ち、ロングノーズでショートデッキという伝統的なスポーツカーらしいスタイリングを実現した。最近の欧州車はユーロNCAPの対歩行者衝突安全の項目の強化のためにボンネットを高くする傾向にあるが、Fタイプでは衝撃時にボンネットがポップアップする仕組みを採用してノーズを低め、スポーツカーらしいプロファイルを得た。

次ページエントリー・モデルは823万円
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