ジャガー・Fタイプクーペに乗ってみた! 市販スポーツカーを50年ぶりに一新

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最後にジャガーの次の一手、つまりFタイプ=C-X16の次なるモデルとなりそうなスポーツ・クロスオーバー・コンセプトの「C-X17」についても訊いてみよう。同じグループに属するランドローバーが得意とする分野とカブる気がしないでもない。このモデルで目指すところを、ギャラガー氏に訊いてみた。

「現段階ではコンセプトカーですが、グローバルで見て急速に成長しているカテゴリーであり、大きな需要があるという期待があります。同じグループに属するランドローバーと競合しないか心配する声もありますが、ランドローバーはオフロードでの高い走破性を極めることに重きを置くブランドであり、ジャガーはよりダイナミックでスポーティネスを前面に押し出したブランドです。そうしたブランド・イメージの違いから、競合するとは考えにくいでしょう」

腰高で2ボックスのスタイリングは、ジャガーとしては新しい分野だが、フロンロビューに関しては、セダンのXJシリーズと共通の印象を強調して、ひと目でジャガー・ファミリーだとわかるように心がけている。サイドビューは、冒頭で紹介したFタイプのような立体的なプロポーションで、スポーティネスを強調する。

販売台数は3年で倍増

ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマグナス・ハンソン社長は次のように言う。「フランクフルト・モーターショーで展示して好評を得たコンセプトカーだったため、商品としてのポテンシャルの高さを見極めるために様々な地域で披露し、メディアや顧客からの反応を得ています。また、新アーキテクチャーによる軽量かつ高剛性なボディによって生じるメリットやデザインの可能性の広がりなどを伝える意味合いもあります」。

マーケティング・広報部ディレクターを務める若林敬市氏によれば、「グローバルでの販売台数は、2012年の37万4636台から2013年の43万4311台へと約16%増加しています。3年前に20万台規模のメーカーだったことを考えると、大きな伸びを見せていることは明らかです。36億円もの投資を行っており、2015年にはアッパーミドル・セダンの「XE」のデビューが予定されており、C-X17も市販へ向けて検討されています」と、今後、ラインナップが充実していく予定を明らかにした。

ホイール周りの様子

日本では、2012年の2854台から2013年は4414台へと、50%をはるかに越える急上昇をぶりを見せている。販売台数を伸ばした要因は、473万円~という従来のランドローバー・ブランドにはなかった衝撃的な価格で登場したイヴォークの販売が好調なことによるところが大きいが、今後はジャガー・ブランドの伸びが期待できるとしている。

実際、いまではBMWのX5、ポルシェのカイエンやマカンと、スポーティなイメージの自動車メーカーの大黒柱がSUVであることを鑑みると、今回登場したFタイプをアイコニックな存在としてスポーティなイメージを構築した上で、SUVのような売れ筋商品を投入していけば、ジャガー・ブランドとしての伸びも期待できるだろう。

川端 由美 モータージャーナリスト
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