スバル「WRX」は何がスゴイのか 実用と走りを両立させたスポーツ・セダン
スバルの真骨頂たるボクサー・エンジンに火を入れて走りだす。アクセルを踏み込んですぐに、気持ちのよい加速をする。低速からトルクの厚みがあり、アクセル操作に対して素直な反応をし、自然な加速をしてくれる。そうした”当たり前”のことが、ちゃんとできるクルマというのは乗っていて気持ちがいい。
組み合わされるトランスミッションはCVTだが、従来のCVTで感じる違和感が払拭されている。スバル自慢の「SIドライブ」なる制御モードを持っており、そのなかで最もスポーティなS#モードを選ぶと、まるでスポーツカーのように8段変速ができる。段と段の間が接近したクロスレシオの設定なので、変速速度が早く、スポーティなフィーリングだ。
自動で8段ステップ変速に切り替え
とはいえ、無段変速のCVTにあえて段をつけるのは、今どきどのスポーツ・セダンでも投入しており、珍しいわけではない。ユニークなのは燃費志向のIモードやスポーティ志向のSモードを選んだときだ。普段の走行では無段変速で燃費志向の運転モードだが、エンジン回転数が上がると、ドライバーがスポーティな加速をしたいと自動車側が判断し、自動で8段変速に切り替わって、CVTの違和感を抑える。
「WRX STI」と比較すれば、より日常向けのセダンとして開発された「S4」ではあるだけに、300psもの大出力を誰が楽しめるためにはこうした技術の採用は重要だ。同時に、アイサイトを全車に標準装着するなど、安全性も余念がない。
もう一台、「WRX」の最高峰スポーツ・モデルといえる「WRX STI」では、富士スピードウェイの本コースでの試乗がかなった。「STI」とは、スバルのレース部門を統括する子会社である「Subaru Tecnica International」の略である。独立したスポーツセダンとなった「WRX」の中でも、スバルのレース部門を代表するサブネームが与えられた 「WRX STI」が、スバルの遺伝子を色濃く受け継ぐスポーツ・モデルであるのは説明するまでもない。
大型リアスポイラー、BBS製18インチ・ホイール、フロントグリルやフェンダーに取り付けられたSTIのロゴなど、40代以上のクルマ好きにとっては”胸アツ”の外観である。室内を 見回すと、アルカンターラと本革のコンビネーションのシートに赤いアクセントが施されており、ヘッドレストには「STI」のロゴが刻印されているという念の入れようだ。
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