「のりたま・ゆかり・味道楽」ふりかけ不動3強の訳 長い歴史が強み、子ども時代に親しんだ味

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一方で、消費者の嗜好も時代とともに変わる。「平成元年頃の『のりたま』の味を再現したこともありますが、現代の消費者が食べると“しょっぱい”と感じると思います」(同)。

今年の「のりたま」は周年企画の反動で伸びは一段落したが堅調だ。

「のりたま」を構成する主な原材料。上段左から「たまごそぼろ」「たまご顆粒」、中段左から「ホロッとたまご顆粒」「のり」「さば削り節」、下段左から「抹茶塩」「ごま」(写真:丸美屋食品工業)

「ゆかり」を最初に支持したのは子どもたち

三島食品(本社:広島県広島市)の「ゆかり」は1970年の誕生。昨年、半世紀を迎えた商品だ。2021年も好調で「1月~9月までの前年同期比で104.4%となっています」(同社)。

ごはん以外でも「和風パスタの味付けに」「肉にふりかけてもおいしい」という声もある。

他のふりかけが多くの原材料をブレンドするのに対して、「ゆかり」は“赤しそ1本足”ともいえる存在。商品パッケージ裏の原材料名も「塩蔵赤しそ、食塩、梅酢、砂糖、調味料、酸味料」とシンプルだ。商品が評判を呼んだのは意外なところからだった。

「学校給食に採用されてから人気が高まりました。当時も今もお子さんは白いごはんより、味付きや何かをふりかけたごはんのほうを喜びます。それとともに商品の認知度が高まり、現在でも各地の米飯給食で採用いただいています」

広報兼直販事業マネジャーの佐伯俊彦さんは話す。最初から評判だったのだろうか?

「発売当初、『ゆかり』は売れ行き不振でした。理由の1つが、当時のふりかけは動物性たんぱく質原料が主原料で、植物性原料(赤しそ)のみで商品化されたふりかけはほかになく、経験のない消費者に受け入れられなかったのです。逆に、競合がなかったことが全国へ浸透する強みとなり、赤しそふりかけの味として市民権を得ることができました」(同)

学校以外に事業所や病院にも販路を拡大し、小売店にも浸透して現在の人気となった。

主原料の「赤しそ」を品種から開発

20年かけて主原料「赤しそ」の品種改良を行ったこともある。同社の三島豊社長(現会長)に聞いた話だ。1970年代に赤しそが荏胡麻(えごま)と自然交配して不快臭がする時があり、品種開発に着手。優良な株を選び、種を採り栽培という作業を繰り返した末に、1999年に香りと色もよい「豊香」(ほうこう)が完成。「豊香2号」「豊香3号」に進化した。

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