「のりたま・ゆかり・味道楽」ふりかけ不動3強の訳 長い歴史が強み、子ども時代に親しんだ味

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「のりたま」(丸美屋食品工業。本社:東京都杉並区)はふりかけ業界の絶対王者だ。長年にわたり売り上げ首位に君臨する。1960(昭和35)年の発売で昨年60周年を迎えた。

日本人が大好きな“のり”と“たまご”を中心に構成。もともと旅館の朝ごはんに出た2品にヒントを得て生まれた商品で、どのコメにも合うのも強みだという。

「2020年度の売り上げは対前年比で約112%。60周年でさまざまな企画品を出したのが好評で、最初の巣ごもりとなった昨年春、買いだめ需要が起きたのも追い風となりました」

井原幸太郎さん(マーケティング部ふりかけチーム係長)はこう説明する。2009年の入社以来、商品開発に携わってきたが、今年からのりたまのマーケティング担当となった。 

昨年発売した「増し増しのりたま」(販売終了)も人気を呼んだ(写真:丸美屋食品工業)

のりたまの企画品とは、例えば「増し増しのりたま」(小袋6袋入り)では、いつもの“のりたま”(2袋)+のりを増した“のりのりたま”(2袋)+たまごを増した“たまのりたま”(2袋)を組み合わせた商品だ。また「たまごトリオ」(小袋8袋入り)という、“のりたま”(4袋)+“たらこたま”(2袋)+“うなたま”(2袋)を組み合わせた商品も出した。

ほかには、ひよこチップ入りのりたまやハートチップ入りたらこを組み合わせた「のりたま&たらこ」もSNSで人気を呼んだ(いずれの商品も現在は販売終了)。60周年という節目の年に遊び心も加え、のりたまも積極的に自社コラボ。これらの施策も支持されたのだ。

「イメージを変えずに風味アップ」に苦労した

「のりたまは、のりとたまごを中心に、さば削り節、抹茶塩、ごまなど、多くのパーツでできています。2020年からは、隠し味に“ホロッとたまご顆粒”を加え、たまごの風味を高めました」(井原さん)。「定番の味」「卵かけごはんにも合う」と話す人も多い。

60周年を機に「9代目の配合」を行い、当時商品開発だった井原さんが担当。「消費者がイメージする『のりとたまごの少し甘い味』は変えられないので、配合のバランスに試行錯誤。時間がない中で眠れない夜もありましたが、何とかやり切りました」と振り返る。

「のりたま」のようなロングセラーブランドの品質改良は非常に難しい。別の人気食品では「薄板を一枚一枚はがすような思いで改良する」という話も聞いた。

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