持ち家は「コロナ収束前」に売っておくべき理由 1年半近く続いた特需は曲がり角を迎えている

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「コロナ特需」がある以上、買い手からすれば購入環境はいいとは言えない。買いたくても買えないことが多いし、買う時は割高に買うことになりがちだ。逆に考えると、売るにはいい時期ということになる。

新築・中古、マンション・戸建ともに在庫は非常に少ないし、買い手は非常に多いので、中古では希望購入価格も出せない程、購入が激戦になっている。値引かなくても売れる時期には売り出し価格も高くなりがちだ。しかし、通常の場合、希望購入価格は売り出し価格に対して平均6%下回っている。特需の有無によって、成約価格は1割ほど違うと考えた方がいい。

「空き家の実家」も今がチャンス

こうなると、有利なのは売り手側だ。自宅は次の物件が決まってからということになるかもしれないが、それ以外にも売りたいものはないだろうか?例えば、相続した親の家だ。

空き家になっていて、有効活用されていないケースは多い。活用に向けて投資するにしても採算が合う成功事例は少ない。それなら、この機に売るのは千載一遇のチャンスと考えた方がいい。特に、戸建は売りにくいし、郊外のマンションも同様だ。

先日個人から受けた相談は、築20年の戸建を高値で購入するものだった。戸建価格の建物部分は20年もしないうちに資産価値がゼロになるので、土地代だけで買わないといけない。「マンションは高い」「戸建なら買える」「中古の方が割安だ」などと短絡的に考えて中古戸建を購入してしまうと1000万円以上の含み損を抱えることになったりする。

無知は怖いものだが、そのような行動をさせてしまうのが「特需」なのである。そんなどさくさに紛れることができる絶好の売りのタイミングは近いうちに終わってしまうかもしれない。通常、売り切るには3か月かかるのだから、今からやっておくくらいがいいと考える。

沖 有人 不動産コンサルタント

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おき ゆうじん / Yujin Oki

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクトを設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意とする。設立当初から運営する分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員数は30万人以上。『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。

 

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