約5000万円の豪華絢爛キャンピングカー売れる謎 全長9.9mと規格外のサイズでも購入者は絶えず
まるで高級リゾートホテルにあるスイートルームのような佇まい。これで、好きな場所に行ってキャンプができるのだから最高だ。移動もできるグランピングの宿泊施設といった感じ。だが、そのお値段は約5000万円と手軽に買えるものではない。一体、どんなユーザーが購入するのだろうか。
ワッツの村上氏によれば、主な顧客は会社経営者などの富裕層。同社の拠点がある熊本だけでなく、北海道から沖縄まで、全国にユーザーがいる。ほとんどが現金などの「一括購入」だそうで、会社名義で登録するユーザーも多い。中には、初めて購入するキャンピングカーがこのモデルだったり、購入を決めてから自宅に専用ガレージを建てたりするユーザーもいるという。また、多くが購入して3~4年で新型モデルに乗り換えるそうで、極端な例では購入して2年後、最初の車検がくる前に次のモデルに買い換える顧客もいるという。
買い換えるまでの期間が短い理由のひとつには、ティフィンをはじめとする北米製キャンピングカーは、「毎年イヤーモデルが出て、少しずつ改善される」ためだという。例えば、前年モデルよりもブレーキの性能やエンジンの馬力が向上するなど、アップデートされるのだ。そのため、つねに新型モデルに注目が集まり、買い換え需要も多いのだという。
納車まで約1年、細部まで自分好みにカスタマイズ可能
ワッツは、ティフィン社製キャンピングカーを扱って約10年。例年は、5~6月に新車を3台、中古車を3台ほど注文する。それから新車については、北米の現地工場で製作がはじまり、11月頃に完成し出荷。日本に届くのは12月頃だが、そこから国内の法規に合わせた仕様変更などを熊本のワッツ工場で行う。そして顧客へ納車できるのは、だいたいゴールデンウィーク前で、ほぼ1年がかりとなる。こうした高級キャンピングカーは、室内のアレンジなどに細かいオーダーが可能なぶん、大量生産ができないため、どうしても製作には手間や時間がかかる。そのため、ワッツでは、その年に販売するモデルは、前年に先行で発注することで、在庫が途切れないようにしているという。
それでも近年は、注文が多くなり、中古車ですら在庫がないこともあるという。アウトドアブームの盛り上がりにより、ユーザーが増えたことが要因だ。中には、もともとはクルーザーなど高級船舶に乗っていた層が、キャンピングカーに鞍替えする例もあるという。クルーザーは、例えば船を停泊するためのマリーナなどにも膨大な維持費がかかるため、巨大でも停められる敷地さえあれば、高級キャンピングカーのほうが「リーズナブルだ」という。
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