感染急減の日本が油断大敵になってはいけない訳 ワクチン効果は徐々に薄れ、追加接種が不可欠

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追加接種は著効した。6月14日の致死率9.4%から、8月15日には0.60%、9月24日には0.15%に低下している。10月7日、イスラエルの研究チームはアメリカの『ニューイングランド医学誌』に、追加接種の有効性について、追加接種から12日が経過した段階で、非接種群と比べ、追加接種群の感染率は11.3分の1、重症化率は19.5分の1まで低下したと発表している。

その後、イスラエル政府は、追加接種の対象を拡大し、12歳以上とした。そして、世界のどの国よりも速く追加接種を進めている。10月22日現在の追加接種完了率は44%で、9月12日には、イスラエル保健省高官が、4回目の追加接種に必要なワクチンの確保を進める方針を明かしている。

高齢者や免疫抑制患者に追加接種は不可欠

イスラエルの経験は貴重だ。多くの先進国が追加接種を加速させている。10月16日現在、追加接種の完了率はアメリカ3.6%、フランス3.5%、ドイツ1.8%、イタリア1.6%だ。中国でも、すでに追加接種は始まっている。10月13日、アメリカのニューヨーク・タイムズは、武漢を含む湖北省で4万人以上が追加接種を受けたことを報じている。

高齢者や免疫抑制患者に追加接種が必要なことは、いまや世界的コンセンサスだ。9月22日、米食品医薬品局(FDA)は、ファイザー社製ワクチンの65歳以上の高齢者と重症化リスクが高い人に対する追加接種を承認し、10月20日には、米モデルナとジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンについても承認した。

FDAは、ファイザー製については、40歳以上に承認対象を拡大する予定だ。欧州でも、10月4日、イスラエル、イギリスに続き、欧州医薬品庁(EMA)がファイザー製ワクチンの18歳以上に対する追加接種を承認した。さらに、途上国でのワクチン接種を推進するため、当初、追加接種に否定的だった世界保健機関(WHO)も、10月11日、感染を防ぐ抗体が十分にできなかった人に限って推奨すると声明を発表している。

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