「日本推し」候補がフランス大統領選で人気の背景 急激に支持率を高めているザムール氏の主張

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ゼムールは、日本の強い製造業についてもうらやましく思っている。世界銀行によると、日本のGDPの29.1%を占める製造業が、フランスでは16.3%しか占めていない。貿易に関しては、日本は過去30年間のうち25年間は貿易黒字を記録している。一方、フランスは2005年以降、ずっと貿易赤字を出し続けている。

失業率についても、日本はOECD諸国の中で最も低く、フランスは最も高い水準にある。過去30年間で、日本の最高失業率は2002年で、そのときは5.4%で天井を打っている。同じ期間、フランスの失業率は7%を下回ったことがない。最新の統計では、日本の失業率は2.8%、フランスの失業率は7.9%となっている。

日本のことを実はよくわかっていない?

もっとも、ゼムールは日本に一度も足を踏み入れたことがない。彼は、日本の社会モデルの欠陥、すなわち、人口動態のデス・スパイラル、女性の社会的地位の低さ、若者の絶望などを見ていない。日本の生産性は、製造業を除いて決して高くもない。

フランス人は彼の「日本礼賛論」を受け入れるだろうか? 世論調査によれば、その可能性がないわけではない。ゼムールは現在、すべての世論調査で投票動向の2位か3位につけている。つまり、もし今日、大統領選挙が行われるとしたら、彼は第2ラウンドに進む資格を得て、マクロン大統領と対戦し、彼を打ち負かす可能性があるということだ。

フランスの歴史上、これほど急速に人気を博した候補者はいないと、すべての世論調査機関が認めている。同氏はすでに、移民と安全保障を中心に大統領選挙を大きく変えている。確かなことは、彼の政治プログラムによって、フランスが見習うべき社会のモデルとして、日本にスポットライトが当てられるということだ。

非常に分裂的な人物であるゼムールは、フランスでは崇拝されると同時に嫌われてもいる。同氏の集会は、2016年のドナルド・トランプ前アメリカ大統領のキャンペーンのように、暴力的に支持者と反対者を対立することが多くなっている。

ゼムールの反対勢力の1つが極左だが、大統領選には極左も立候補しており、ゼムールはこうした候補らに「人種差別主義者」と呼ばれている。ゼムールにとって極左は「敵」だ。もし極左が大統領選に勝利し、ゼムールが亡命せざるを得ないようなことになれば、同氏は自らが「モデル国家」としている国で難民申請をすることができる。そう、日本だ。

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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