便利さとリスクが隣り合わせ、セキュリティ意識の向上を急げ

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 さらに、感染したパソコンがロボットのように、送られてきたスパムメールを再送信する。いわゆるボットネットに組み込まれてしまう。

クラウド上にある暗号解読ソフトを利用すると、アルファベットのみ8ケタ程度のパスワードなら、たった3ドルで解読できてしまう。ウイルスそのものを700ドル程度で販売するビジネスが生まれたことも、ウイルスの増大に拍車をかけている。

こういった不特定多数を狙ったウイルスの「インフラ」自体には違法性がなく、取り締まることができない。ウイルスは、今でも世界中で1秒間に数十個が確認されている。ウイルス対策ソフトベンダーが一つ見つけてパターンファイルを登録しても、それをすり抜ける亜種が次々に現れるいたちごっこだ。

にもかかわらず、このリスクへの意識が非常に低いのが現状だ。個人ばかりか企業でもウイルス対策ソフトを期限切れのまま放置したり、試用版のままウイルス情報がアップデートされていない状態であることは少なくない。OSの脆弱性修正プログラムも、インストールしないままにしているケースも非常に多い。

かつての愉快犯と違い、最近のウイルスは感染したことがほとんどわからない。明らかにウイルスに感染したとわかる症状が現れないから、感染していることにすら気づかない。むしろウイルス対策ソフトのアップデートやチェックによる負担のほうが大きいと感じるほどだ。

総務省と経済産業省の連携プロジェクト、サイバークリーンセンターでは、ボットネット検出と電子メール、郵送による感染パソコンへの注意喚起を行っているが、同センターが公開しているボット専用駆除ツールをダウンロードしたのは、そのうち31・5%にすぎない。70%近い感染パソコンが放置され、スパムの配信、ID、パスワードの詐取に使われていることになる。

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