年内終了トヨタ「エスクァイア」が短命だった意味 一世代で終幕、上級5ナンバーミニバンの行方は
とはいえここにきて、月販台数が3桁に落ち込む月が出はじめ、基本構成部品には共通性があっても、座席など比較的大きな部品で差別化を図ってきたエスクァイアが、存続の判断を迫られたのは仕方のないことだろう。
5ナンバーミニバンは、1996年にホンダ「ステップワゴン」が発売され、急速に人気を高めた。これに対し、トヨタはキャブオーバーと呼ばれるワンボックス型の「ライトエース」の次のモデルとして「ライトエースノア」を1996年にモデルチェンジで投入した。だが、セミキャブオーバーと呼ばれる機構で、ワンボックスとミニバンの中間的な位置づけにとどまった。ノアがステップワゴンと同じ前輪駆動(FWD)のミニバンになったのは2001年のことで、この間に5ナンバーミニバン市場はステップワゴンに席巻された。
日産も「バネットセレナ」として1991年に「バネットコーチ」の後継車を発売したが、当時はまだキャブオーバーのワンボックス型だった。モデルの途中で、バネットの名称がはずれ「セレナ」として売られたが、ステップワゴンと同じFWDのミニバンとしてフルモデルチェンジをするのは1999年になってのことだ。
2001年にノアの兄弟車としてヴォクシー誕生
ホンダを追うトヨタと日産のうち、トヨタは2001年にノアの兄弟車としてヴォクシーを誕生させた。販売店系列の違いもあるが、ノアが家族向けの特徴であるのに対し、ヴォクシーはより運転を楽しみたい若い夫や若い男性を取り込むことを目論むように、外観に精悍さが与えられた。
2014年に登場した3代目では、「ヴェルファイア」に通じるような2段式ヘッドライトの造形など採り入れ、ノアとの外観上の差別化を進めている。また、ノア/ヴォクシーともにHVを車種構成に加えた。
エスクァイアの登場も同じ2014年だが、ノア/ヴォクシーが年初に導入されたのに対し、10月になっての発売であった。開発は同時進行であったようだが、すでにノア/ヴォクシーで5ナンバーミニバンでの地位を築いたといえるところへ、新たな価値を提案したことに驚かされたものだった。
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