「国語が苦手な子ども」が音読で激変する納得理由 音読することで設問を「見る」から「読む」に

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子どもが国語の勉強をしたがらない要因は、「国語そのもの」というよりも、「文章を読むことへの嫌悪感」を持っている場合が少なくありません。ですから、文章を読むことへの苦痛を取り除くことが、国語を得意にするための第1歩なのです。

実際、国語が苦手だった子に毎日塾のテキストの文章を1日1題必ず読むように指導したところ、はじめは嫌々読んでいたようですが、3週間ほど経過したころからそれほど負担に感じなくなり、国語の勉強も嫌がらなくなりました。この状態にまでなってくると、国語の勉強にも前向きになり、目に見えて成績が上がっていきます。

音読の際のポイントは次の5つです。

  • ①入試レベルの文章を毎日読む(10分程度で読める長さ)。
  • ②はっきりと聞き取れる速度と声の大きさで読む。
  • ③読み飛ばしや読み間違いをしない(間違えたり飛ばしたりしたら必ず読み直す)。
  • ④句読点を意識してしっかり止まる(読点は1秒、句点は3秒ぐらいが目安)。
  • ⑤親が音読を聞いていてあげる(1人で読ませても効果は薄い)。

音読だから本当に読んだか確認できる

なお問題文だけではなく設問も「音読」をするのがポイントです。問題文は音読をするのに、設問を音読しないと、「設問は大事ではない」と勘違いをしてしまう場合があるからです。また何より、設問を音読することで、解けなかった問題が解けるようになることもあるのです。

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ずっと「わからない」とうんうんうなっていた子が、設問を音読し始めると突然「わかった!」と言い出したり、設問を音読させると「あっ!」と声を上げて正解にたどり着いたりします。

何も教えていないのに、設問を音読しただけで正解にたどり着くのです。音読をすることで、「今まで見えていなかったもの」が見えてくるのでしょう。正確に言えば「それまで設問を見ていたが、読んでいなかった」のです。

ですから「見る」から「声に出して読む」に意識を切り替えさせることが重要です。しかし、ただお子さんに「しっかりと読みなさい」と言ったところで、おそらく「読んでいるよ」と怒って応酬。親子バトルの原因になるかもしれません。

そうならないようにするためにも、「音読する」という方法を取ることがいちばんです。音読をする以上は文章をしっかりと確認する必要がありますし、また「音読する」というルールであれば「音読した・しない」の争いにはならないので、親子バトルにつながる可能性は激減するでしょう。

齋藤 達也 受験コンサルタント

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さいとう たつや / Tatsuya Saito

1976年、横浜生まれ。聖光学院中学校・高等学校で中高6年間を過ごし、東京都立大学法学部法律学科に入学。大学卒業後は一般企業に勤めていたが、趣味でつくった中学受験体験談のHPの反響があまりに大きかったため、中学受験コンサルティングを始め、ついには本業に。これまで合格に導いた教え子は500人以上

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