地味でも年商1000億、東芝「鉄道ビジネス」の実力 車両は少ないが技術に強み、自動運転にも注力
海外では台湾の高速鉄道プロジェクトにおいて、車両電機品、運行管理システム、保守管理システムなどを担当。今年5月には、変電所や駅の電機設備機器の更新事業を受注している。台湾では在来線でも通勤電車向け電機品を納入しており、「海外鉄道事業における注力市場」(東芝)という。
日々の列車ダイヤ策定や乗務員の運用、車両の配置、検査といった輸送計画システム、列車の運行状況を監視しダイヤ乱れ時の対応も行う運行管理システムも手掛ける。2019年からはシステムにAIを導入、輸送担当者や運行管理者をサポートする。
たとえば、輸送計画システムは事前に車両性能、作業時間、乗務員の休日などの条件を設定しておけば、最適な輸送計画をすぐに構築できる。運行管理システムは過去の運行状況とそのときの指令員が判断した内容を蓄積しておくことで、過去の状況と現在の状況を比較し、運転整理が必要かを瞬時に判断する。
「従来はベテランが手作業で数時間、数日かけて行っていた作業が、AIなら1分から数分で完了する」と、東芝インフラシステムズ鉄道システム事業部の大辻浩司ビジネスユニットマネジャーと胸を張る。「もし結果が100点満点でないとしても、必要な部分だけ修正すればよいので、トータルの作業時間は大幅に短縮できる」。
自動運転への取り組みも
鉄道業界で導入の検討が進む自動運転についても東芝は開発に意欲的だ。鉄道の運転の自動化レベルは以下の段階に分けられる。
・運転士のみのワンマン運転で、運転士は列車起動、ドア操作、緊急停止操作などを行う半自動運転(レベル2)
・運転士以外の係員が先頭車両の運転台に乗務し、緊急停止操作や避難誘導などを行う条件付き自動運転(レベル2.5)
・係員が乗車し緊急時の避難誘導を行う条件付き自動運転(レベル3)
・ゆりかもめのように完全に無人で運行する自動運転(レベル4)
国土交通省は地方鉄道においてはレベル2.5を目指し、都市鉄道においてはレベル2.5を踏まえつつ、最終的にはレベル3またはレベル4を目指すことを目標に置いている。現時点では多くの鉄道各社やメーカーがレベル2.5の実現をにらんで開発を行っている。
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