36日間で欧州26カ国を走破した「特別列車」の使命 環境意識が高まる中で「ヨーロッパ鉄道年」をPR

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一方、先頭に立つ機関車はそれぞれ通過する各国が用意したが、その対応は各国まちまちで興味深かった。例えば中・東欧諸国やドイツ、オーストリアなどは機関車にスペシャルラッピングを施しており、その意気込みが伝わってきたが、フランスやベルギー、オランダなどはごく普通の機関車を使っており、多少、普段より念入りに掃除がされ、車体がきれいだったかな?という程度だった。

コネクティング・ヨーロッパ・エクスプレス牽引用に特別なラッピングを施したスロバキアの電気機関車(筆者撮影)

このイベントは鉄道の利用促進が本来の狙いであるから、主催者はホームページ上に各国の通過日時や出発・到着時刻を告知しており、特別列車を一目見ようと多くの鉄道ファンが集まった。チェコでは機関車の専用ラッピングはもちろん、途中駅の予想通過時刻までSNS上で公表するなどかなり積極的にPRしており、プラハ到着時は運輸大臣や関係省庁の大臣などが出迎え、その後は同国の鉄道に関する将来計画などの会議が行われた。

【コネクティング・ヨーロッパ・エクスプレスが走った26カ国】
ポルトガル・スペイン・フランス・イタリア・オーストリア・スロバキア・ハンガリー・クロアチア・セルビア・北マケドニア・ギリシャ・ブルガリア・ルーマニア・ポーランド・リトアニア・エストニア・ラトビア・チェコ・スロベニア・ドイツ・スイス・デンマーク・スウェーデン・オランダ・ベルギー・ルクセンブルク
 *基本的に訪問順。同一国を複数回通過したケースもある(編集部まとめ)

各国間の協力と「デジタル化」推進を強調

大きなトラブルもなく、順調に各国を巡ったコネクティング・ヨーロッパ・エクスプレスは、10月7日に無事、終点のパリ東駅に到着した。パリでは、欧州委員会のティエリー・ブルトン域内市場担当委員、ヘンリック・ホロレイ欧州委員会モビリティ・運輸担当局長、SNCFのジャン・ピエール・ファランドゥ社長、フランスのジャン・バティスト・ジェバリ運輸大臣らが出迎え、歓迎式典が開催され有終の美を飾った。

歓迎式典のスピーチでは、2つの主要テーマに焦点が当てられた。1つは、欧州の鉄道が国の垣根を越えて互いに協力し、共に歩んでいくことの必要性、もう1つは欧州標準信号ERTMS / ETCSなどを筆頭とする、鉄道事業のデジタル化を積極的に推進していく、という点だ。

欧州委員会の関係者は、長距離の国境を越えた旅客・貨物両鉄道サービスを強化するため、その行動計画を年内に発表することを約束すると語った。

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