台湾のCPTPP加入のメリットとデメリットは何か 台湾の繊維、衣料産業に恩恵、農業や自動車産業には打撃も
2021年9月23日、行政院(内閣に相当)は記者会見で環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP、TPP11)へ正式に加入申請をしたことを発表した。これは2000年に台湾が世界貿易機構(WTO)に加盟して以来、貿易上の最も重要な行動だと言える。
さらに今回特筆すべきなのは、台湾に先んじて中国がCPTPPへの加入申請を行っていることだ。台湾の申請を受け、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」は「台湾による攪乱」という見出しでこれを報じた。
CPTPPへの加入は台湾にとってどれほどの意味があるのか? そのメリットとデメリットは? そして、中国が台湾より先にCPTPPへの加入申請を行った意図とは何なのだろうか?
CPTPP構成国は台湾にとって重要なパートナー
CPTPPとは、アメリカ主導の環太平洋パートナーシップ協定(TPP、TPP12)から発展した多国間貿易協定だ。TPPは2005年にブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールの4カ国で締結された環太平洋戦略的経済連携協定(P4協定)を基礎とし、2008年より参加国が拡大。原加盟国である4カ国に加えオーストラリア、カナダ、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、アメリカ、ベトナムの合計12カ国に広がり、2015年10月にTPP協定として大筋で合意した。
しかし2017年、ドナルド・トランプ前大統領がTPPからのアメリカの脱退を表明。TPPは存続をめぐる議論を経たのち、日本主導により残った11カ国間で新たな協定CPTPPとして合意するに至った。
現在、CPTPPを構成する11カ国の人口は5億人。世界総人口の7%だが、GDPは世界GDPの約13%を占めている。CPTPPは世界で最も先進的な貿易協定の1つだ。そのルールがカバーする範囲はWTOよりも広い。WTOが主に物品サービス、金融サービス、貿易の円滑化などの伝統的な貿易問題を対象にしているのに対し、CPTPPはテクノロジー分野で広く利用される電子商取引、データプライバシー、中小企業の労働権なども対象にしている。
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