台湾のCPTPP加入のメリットとデメリットは何か 台湾の繊維、衣料産業に恩恵、農業や自動車産業には打撃も

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通商交渉を担当する行政院の鄧振中政務委員(無任所大臣に相当)は、記者会見で「今年の議長国は日本だ。台湾と日本は密接に意見交換しており、互いに助け合っていくだろう」と述べた。つまり、日本が議長国であることが、台湾に有利に働く可能性が高いということだ。

CPTPPはクリアすべき基準が非常に高い貿易協定であり、短期間で交渉を完了させることは難しい。だが来年の議長国は、かねて親中派であるシンガポールだ。来年の加入申請では、台湾のCPTPP加入の可能性は大幅に減少するだろう。

日本からの輸入規制措置も大きな壁

ただし、日台間にも1つ大きな「課題」がある。台湾がまず検討しなければならないのが、日本が解除を求めている福島県など5県産の食品に対する輸入規制措置だ。台湾政府は、輸入規制解禁はCPTPP加入の条件ではなく、あくまで科学的に議論するとしたうえで、今後、日本と協議していく姿勢を示している。

今回、台湾のCPTPPへの加盟申請は「主権国家」としてではなく、「経済体」である「台湾、澎湖、金門、馬祖独立関税地域」名義で行われている。その理由は、台湾はすでに同名義でWTOへ加盟しており、その後もニュージーランドやシンガポールと締結した自由貿易協定(FTA)でも同じ名義を使用していることによる。台湾は物議を避けるために、長年にわたり経済方面で使用している独立関税地域の名義を使用したのだ。

なお、台湾政府はこのタイミングでのCPTPP加入申請に、中国は関係ないとしている。だが、鄧振中政務委員は会見で、中国は台湾の国際活動の拡大を阻止し続けていると指摘。中国の加入が先に実現した場合、台湾にとって相当なリスクになるとした。

現時点では中国より台湾のほうが多くの点でCPTPP加入資格を満たしていると見られるが、中国は台湾の加入を断固阻止する構えだ。CPTPPは中台対立の舞台になってしまうのだろうか。

鄧振中政務委員は、「台湾と中国では市場制度、民主主義、法治主義という社会基盤が異なる。CPTPPの加盟は個別に検討すべき事案であり、台湾と中国の加入申請の議論を関連づけるべきではない」と強調している。
〈台湾『今周刊』2021年9月23日)

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