台湾のCPTPP加入のメリットとデメリットは何か 台湾の繊維、衣料産業に恩恵、農業や自動車産業には打撃も

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またCPTPPの構成国が台湾にとって重要な貿易のパートナーであることも重要なポイントだ。国家発展委員会(日本の省レベルに相当)の統計によると、台湾の貿易総額の24%以上をCPTPPの構成国が占めている。また、台湾がCPTPPに加入すれば関税優遇措置により産業の国外流出の緩和が期待できるほか、外国からの投資を誘致する好材料にもなりうると見られる。

国家発展委員会は、CPTPPに加入交渉中の英国、関心を示している韓国、インドネシア、フィリピンが加入したと想定し、CPTPPが台湾経済にもたらす影響のシミュレーションを行った。その結果、台湾が加入しなかった場合、マイナス0.56%のGDP減少、加入が実現した場合はGDPプラス2%の経済効果が見込まれるという。

CPTPP加入で恩恵を受けるのは、現在、関税が比較的高く、かつ保護関税を受けていない産業だ。繊維・衣料品製造、石油化学、プラスチック製造、ゴム製造、建材関連などが挙げられる。

反対に打撃を受ける産業は、農業や自動車関連だ。なかでも最も大きな影響を受けるのが農業と見られている。CPTPPの加盟国の多くは農業輸出国であり、台湾の生産者にとって打撃となる可能性がある。

台湾農業には打撃となる可能性も

この農業への懸念については、農業委員会の陳吉仲主任委員(大臣に相当)が、日本や韓国のように一部の農産物の関税を維持することで保護していくことを公言している。
台湾のCPTPP加入申請は、すでに事務局を担当するニュージーランドを通して構成国に通知されている。今後、台湾が正式な承認を受けるために、いくつかのハードルを突破する必要がある。

第1のステップとして台湾は、構成国の台湾に対する疑問や懸念に対応するために、各国との事前の個別協議を行う。次の段階で作業部会での正式な交渉がスタートする。そして、最後に11の構成国全会一致での合意を得て初めて加入が認められるのだ。

2つ目のハードルである作業部会の設置は、閣僚級会合であるCPTPP委員会により決定されると定められており、設置には議長国が強い影響力を持つと見られる。議長国は持ち回りで、今年の担当は日本だ。

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