AOKI、2年目の「パジャマスーツ」で描く復活戦略 今秋冬の販売着数は大幅増の20万枚を目指す

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パジャマスーツは企画から半年後の2020年11月、店頭に並んだ。当初から売れ行きが良かったわけではないが、イギリスの通信社、ロイター通信に取り上げられたことが1つのきっかけとなった。コロナ禍に対応した「とがった商品」として20カ国あまりで紹介され、その評判はSNSなどを通じて日本に逆輸入された。そしてパジャマスーツは今年8月、販売3万着を突破した。

今秋冬はパジャマスーツで「20万着」

パジャマスーツの購入者の半分は新規客といい、年齢層も幅広い。またAOKIの調査では、リモートワークだけでなく、昼寝のとき、さらにゴルフを楽しむときなど、想定以上に利用シーンが広がっている。

今秋、AOKIはパジャマスーツのラインナップを拡充する。素材を6種類に増やし、襟付きの上着も投入。委託工場は中国のほか東南アジアを加えて4社体制とする。そうして秋冬のおよそ半年で20万着の販売を目指す。青木社長は「リモートワークスタイルを第2の柱に育てたい」と意気込む。

青木彰宏社長は「今後3年かけてファッション事業を再構築する」と語る(撮影:尾形文繁)

コロナ禍を経験して、AOKIは今後約3年かけてファッション事業を再構築する方針だ。まず第1がパジャマスーツを中心としたリモートワーク関連商品の拡大。現状の売上高構成比は2%程度だが、それを10%程度、売上高として100億円を目指す。

第2がレディースの強化だ。従来レディースはフレッシャーズ向けの多い春に売り上げが集中していたが、OL・キャリア向け製品を拡充し、売り上げの「通年化」を図る。売上高構成比は現状の20%から30%を目標にする。

祖業の紳士服は、コロナ収束後の需要の戻りに備え、オーダースーツを強化する。注文から1週間以内に顧客の手元に届くQOS(クイックオーダーシステム)を18店舗から始める。従来のオーダーよりもリードタイムを短く、価格も抑えることで、売り上げの再拡大を図る。

AOKIにとって、パジャマスーツは単なるヒット商品ではない。ファッション事業全体を変える起爆剤としての役割が期待されている。パジャマスーツは1つのカテゴリーを担う商品となるか。発売2年目にその真価が問われることになる。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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