日本人の「読解力」が劇的に落ちている確たる証拠 情報の摂取量が多くても思考が偏る仕組み

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陰謀論に凝り固まっている人は、どんな情報やテキストに触れても、それを補強するものにしか目が行かない。都合のいい情報だけを選択し、どんどん先鋭化していきます。そして陰謀論を否定する人を、情報収集能力がなく、真実を知らない人たちだと見下したりするのです。

「読解力」とは、できる限り先入観や偏見なく情報を受け入れ、対象を認識し理解することです。対象がテキストであれば文意を理解し、行間を読むということですし、人間であれば相手の主張や立場を理解し相手の論理で考えるという、「思考の幅」を持つことです。自分の視点だけで完結している〝読解力不足〟の人が、残念ながら増えているように思います。

なぜコロナ陰謀論にハマるのか?

今回の新型コロナのパンデミックによって、「読解力」の欠如が図らずも顕在化したのではないでしょうか? 

ウイルスの脅威をどう評価し、受け止めるのか? ツイッターなどのSNS情報を鵜呑みにして、「水をたくさん飲めば感染しない」とか、「新型コロナは30度前後のぬるま湯で死滅する」とか、「トイレットペーパーがなくなる」など、根拠のないデマを信じてしまう人がいました。

大事なことは、しっかりとした数字やデータに基づいて判断することでしょう。新型コロナウイルスの感染率はどれくらいなのか? 重症化率と致死率はどれくらいなのか……?

その意味でマスメディアの報道も、大いに偏りがあると言わざるを得ません。これらの客観的な数字やデータを示すどころか、たんに1日の感染者数をひたすら取り上げるだけ。感染者数も単純な累計数だけでなく、すでに完治している人の数にも注目するべきです。

実は日本のデータはPCR検査が他国に比べて少ないため、疫学的に有効なデータが得られないという意見もあります。分母が少ないので正確な感染率や重症化率などもわからないというのです。

ならば日本に比べてPCR検査が格段に進んでいる諸外国のデータはどうなのか? 2020年12月に発表されたアメリカのワシントン大学の調査によると、新型コロナで入院した患者(3641人、平均年齢69.03歳)と、インフルエンザで入院した患者(1万2676人、平均年齢70.25歳)を比較したところ、致死率はインフルエンザが5.3%に対して、新型コロナ患者の方は18.6%だったそうです。

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