フランスで「日本マンガの人気」再沸騰している訳 若者向け文化補助金の使い道として圧倒的人気

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マンガ市場の拡大に伴い、日本製アニメ人気もさらに高まっている。日本アニメを中心に配信するアニメ・デジタル・ネットワーク(ADN)、ネットフリックスなどの動画ストリーミングサービスも新たな需要を掘り起こすのに一役買っているようだ。

日本の文化などを紹介しようとパリで開かれているイベント「ジャパンエキスポ」の会場は、忍者アニメ『NARUTO』などのコスプレを身に纏う多くの若者であふれる。フランスの企業も商機を逃す手はない。日本のコンテンツのライセンス取得などを虎視眈々と狙う。「彼らはマーケットの商習慣を熟知している」と日本のアニメ業界の関係者は指摘する。

ミクロイド社も2019年、日本に代表事務所を立ち上げた。今年2月には『グレンダイザー』の原作者、永井豪氏のアニメ企画・版権管理会社と同作品をモチーフにしたパソコンや専用機向けのゲームを開発することで合意。ロンジャールCEOは「フランスやイタリアでの『ゴルドラック』のブランド力は非常に強い」と話す。

同社は2023年をメドにゲームを販売する予定。同時に、グループ会社を通じてフィギュアなども投入する計画だ。

マンガの「政治利用」の声もあるが…

 7月に東京五輪の開会式出席のため、日本を訪れたマクロン大統領はマンガ『AKIRA』の作者の大友克洋氏、マンガ『FAIRY TAIL』作者の真島ヒロ氏、ゲームシリーズ『DARK SOULS』のクリエーターの宮崎英高氏といった日本の著名な漫画家やゲームのクリエーターと懇談。『ワンピース』の作者、尾田栄一郎氏からの直筆メッセージ入りの原画をプレゼントとして受け取ったことと併せ、ツイッターで報告した。

大統領は「カルチャーパスの成功は文化が私たちを一つにすることを証明している」などとツイート。「来年の大統領選に向けて若年層の支持を集めるための政治的な思惑が見え隠れする」(フランスの企業経営者)との指摘もあるが、その真意はともかく、クールジャパンの先兵ともいうべきアニメやマンガがフランスの多くの若者を虜にしている証左であることに疑いはなさそうだ。

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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