新生銀へTOB延長、SBIが固唾を呑む金融庁の出方

公的資金が注入され、国も約2割の株を保有

新生銀行にTOBを仕掛けたSBIホールディングスの北尾吉孝社長(写真:ロイター/アフロ)

小が大を呑む買収だ。SBIホールディングス(北尾吉孝社長)が新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)に乗り出した。SBIはすでに新生銀行株の20.32%を保有するが、9月10日から10月25日までTOBを実施すると発表。その後、12月8日まで期限を延長している。SBIは出資比率を48%まで引き上げたい意向だ。

買い付け価格は新生銀行株の9月9日終値の1440円を39%上回る1株2000円に設定されている。SBIHDの総資産は約7兆円、新生銀行は約11兆円。TOBが成立すれば証券会社が大手銀行を傘下に収める初の買収案件となる。

SBIは2018年に地銀投資を手掛ける私募投信「SBI地域銀行価値創造ファンド」を立ち上げ、第4のメガバンク構想を推し進めている。これまでに第二地銀を中心に8行に資本出資しており、「当面、10行程度まで広げる」(北尾氏)との意向を表明している。新生銀行へのTOBはその中核に位置付けられる。

新生銀行は連絡なしのTOBに不信感

北尾氏は2016年ごろから「地銀の株価は安すぎる。うちと組めばもっと上がる」と地銀経営者に誘いをかけてきた。その脈絡の中で、「新生銀行を(地方)銀行の銀行にしたい」と周囲に語っていた。出資した地銀8行で、SBIが完全にコントロールしているところはない。北尾氏は「完全にコントロール可能な銀行が必要」と語っており、新生銀行を連結子会社化し、地銀連合を束ねるプラットフォームにしたい意向だ。

だが、新生銀行側は、TOBが何ら連絡もなく実施されたこと不信感を強めている。SBIが提案する連結子会社化についても「地域金融機関ビジネスにおいて、むしろ障害になる」と反発している。9月17日には、TOBの経緯をめぐりSBIと見解の相違があると発表。SBIに対して詳細な質問状を送付するとともにTOB期限の延長と買収防衛策を講じることを示唆した。

「新生銀行は9月16日夕に記者レクチャーを行い、17日に発表するSBIのTOBに対する意見表明と詳細な質問、買収防衛策(新株予約権無償割り当て)について理解を求めた。SBIによる資本提携の提案や、新生銀行とマネックス証券の包括提携の経緯について、SBIの認識が不正確だと指摘した」(全国紙記者)という。

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