「デパクロ」の功罪と百貨店の明日《それゆけ!カナモリさん》

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■自助努力による相乗効果創出

 もう一つの顧客から収益を上げる方法が「クロスセリング」である。これは、「関連商品の販売」によって売上げ・利益を増すのだ。ファストファッションの来店客が食品売り場に流れて売上げが上がるということも、百貨店全体としてはクロスセリングが達成できているわけだが、どこまでそれを狙ってやったのかは疑問だ。

本来的には、衣料・雑貨売り場での回遊によるクロスセリングを図るべきであり、衣料品売り場をパスして食品売り場に流れることが続くなら、ファストと既存店とのカニバリ(食い合い)が顕在化する懸念も考えられる。

その意味では、衣料・雑貨売り場での新たな回遊ルートを構築する動きが、松坂屋と同じJ・フロントリテイリング傘下の大丸で始まっている。

その一つが、大丸心斎橋店と京都店で展開されている「うふふガールズ」だ。従来顧客でない若年女性向けの複合ブランドによる売り場展開が、従来にない商品構成と売り方でターゲット年齢にとどまらない幅広い女性層の支持を集めて活況を呈しているという。

もう一つが小規模インディーズ系デザイナーズブランドを扱うセレクトショップの誘致だ。6月11日付日経MJの記事によると、上記「うふふ」と同じ大丸心斎橋店の北館に2月、古着風や民族衣装風など個性的な品揃えで異彩を放つ店が開業した。近年のインディーズを扱うセレクトショップの出世頭、ステュディオス(東京・渋谷)の心斎橋店だ<という。その取り組みはメジャーブランドだけではいつ飽きられるかわからない(MDマネージャー)という若年層対策の問題意識からである。

百貨店自らが売り場を作る。いわば「売り場の魅力作り」という“きほんのき”ともいう取り組みによって、従来にない顧客を取り込み、ファン化して売り場内の買い回りを促進。「クロスセリング」を達成させることが欠かせないのである。

 

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