ロンドン地下鉄、延伸の背景に「ある施設」の影響 沿線に「空中プール」も出現、007の舞台になる?
ノーザン・ラインは、市内中心部でチャリング・クロス(Charing Cross)経由とバンク(Bank)経由の2ルートに分かれ、今回の延伸区間起点となったケニントン駅で合流する。
ややこしいのは、前述の2ルートは市内北部のカムデン・タウン(Camden Town)駅では別々の線のまま一度くっつき、さらに郊外に向かって2方向に分かれるという形になっている点だ。上下線ともに経由も行き先も異なる列車が交互に走る区間もあり、「まったく違う2つの路線に分割しよう」という案も取りざたされているが、実現はまだ先のことになりそうだ。
今回の延伸区間を走る列車は市内中心部ではすべてチャリング・クロス経由となっている。当面は1時間当たり5〜6本の列車が延伸区間に乗り入れるが、市内中心部は2〜4分間隔(毎時25〜30本)のため、バタシー・パワー・ステーション行きに乗るには運が悪いと7〜8本も列車をやり過ごさなければならない。筆者も開通当日の午後、目の前で先行列車に乗り損なった後、6本見送ったのちにようやく延伸区間へ行くことができた。
「ロンドン離れ」で沿線はどうなる?
ロンドン交通局は、来年2022年半ばをメドにバタシー方面を毎時12本に増便する目標を立てているという。
ただ、コロナ禍によるテレワークの奨励に加え、英国の欧州連合(EU)脱退の影響で金融業界ではロンドン離れがとくに顕著なため、当初のもくろみ通りに住宅の購入者や入居者が集まるかは未知数だ。
しかも、ロンドンの不動産業界では「(地下鉄運賃が)ゾーン1のエリアは高く貸せる」という考えもあるため、本来はゾーン2と揶揄されるこのエリアに訴求力があるかどうかもまだわからない。再開発施設へのアップル入居が何かしらの起爆剤になるかもしれないが、しばらくは状況を注視する必要がありそうだ。
ロンドンでの既存路線の延伸計画は、交通局の財政難もあり今後10年であと1度あるかないか、といった状況だ。計画では地下鉄ベーカールー・ラインが南方向に延びるとされているが、2030年近くまでかかる可能性が高い。コロナ禍を含めたさまざまな社会状況の変化で、沿線開発を含む鉄道新線の建設は従来以上に大きなリスクを抱えることになるかもしれない。
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