ロンドン地下鉄、延伸の背景に「ある施設」の影響 沿線に「空中プール」も出現、007の舞台になる?
150年以上の歴史を誇る世界最古のロンドン地下鉄に9月20日、久しぶりの新区間が開業した。路線が伸びたのはロンドンを縦断するノーザン・ラインの南部分で、途中駅のケニントン(Kennington)からナイン・エルムズ(Nine Elms)駅を経て、終点バタシー・パワー・ステーション(Battersea Power Station)駅に至る約3.2kmだ。
ノーザン・ラインの路線図が書き換わるのは実に1933年以来。地下鉄全体でも1999年のジュビリー・ライン延伸以来22年ぶりの本格的な新区間開業となる。2008年にヒースロー空港第5ターミナル開業に伴う空港内の延伸があったものの、市中での地下鉄延伸開業は21世紀初だ。
中心部へ「バス1時間」が15分に
開業当日の初電は、バタシー・パワー・ステーション駅を午前5時28分に出発した。早朝にもかかわらず、同駅には地元の鉄道ファンら100人以上が集結。シャップス運輸相やロンドンのカーン市長とともに開業の瞬間を味わった。新区間の開業で、ロンドン地下鉄の総駅数は2駅増えて272駅となった。
新区間はわずか3kmほどとはいえ、周辺住民にとってはこれまでバスなどを乗り継いで1時間近くかかっていた市内中心部までの所要時間がわずか15分程度に短縮され、大幅に便利になった。こうした利便性の高さから、2つの新駅はロンドン交通局による運賃ゾーン区分で「中心部」扱いのゾーン1に組み入れられた。
延伸工事の総費用は11億ポンド(約1650億円)。当初予算より1億6000万ポンド(約240億円)ほど縮小できたというものの、新区間の延長3.2kmが約2マイル=1万フィートであることから、地元メディアでは「1フィート(30.5cm)ごとの工費は10万ポンド(約1500万円)」と揶揄する論調もある。
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