東京税関が9月に発表した今年1~6月の「知的財産侵害物品の差止状況」、いわゆる偽ブランド品で輸入を差し止めたのは10万7000点あまりで、5年連続で10万点を超えた。こうした偽ブランド品の中で、ゴルフ用品、とくにクラブの偽物も年々問題になってきている。ゴルフ業界では「模倣品」と呼ぶ。
今年3月に行われた「ジャパンゴルフフェア2021」の会場では、中古品の買い取り・販売なども行うゴルフ用品販売大手のゴルフパートナーのブースをのぞいたら「偽クラブに気を付けよう」というコーナーが設置され、一般の人たちに注意喚起をしていた。
2000年ごろから模倣品の存在を認識
ゴルフメーカーなどゴルフ用品に関わる企業で構成されている一般社団法人日本ゴルフ用品協会(JGGA。以下、用品協会)では、2000年ごろから模倣品の存在を認識している。
用品協会の製造渉外委員会模倣品対策担当の飯泉剛氏(ヨネックス)によると、2006年5月に中国人留学生がミズノの模倣品をネット販売して摘発され、その後多くのメーカーの模倣品が発見されるようになって「性能面・品質面だけでなく安全性の保証がないという点で人身事故などの危険も伴うため非常に問題」として本格的な対策が必要になってきたという。
2011年12月に、同じように模倣品に悩んでいたアメリカゴルフメーカー協議会にならい、「模倣品対策ラベル」を各メーカーに推奨し、クラブのシャフトなどに張り付けてきた。ただ「敵」もさるもので2014年には中国で模倣品対策ラベルの模倣品が発見されている。そこで用品協会は2017年にラベルを一新した。
模倣品対策はいたちごっこのようでもあるが、対策をしないと模倣品だらけになる。飯泉氏は「新ラベルに切り替え後は、まだラベルの被害情報は入っていません」と、効果はある。
「今は3Dプリンターなどで何でもできる時代で、外見上同じようにするにはそれほどの技術を要しなくなっています」と飯泉氏。見た目は正規品と見分けがつかなくなっているため、模倣品対策ラベルが最大の手掛かりになる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら