日本郵船の株主総会で工藤社長は大型バラ積み船の積極投資に突然言及。名誉会長職への疑問が飛び出したほか、社外取締役2人の発言も。挙手による採決は即時却下

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4番目の質問はブラジルでの石油掘削や不動産など非海運事業について。石油掘削事業の収益性やメキシコでのBP社の石油流出事故に絡めてリスクを問うほか、景気に先行する海運事業と遅行する不動産事業を組み合わせるべきではという提案。山脇康副会長は「ブラジルでの石油掘削は掘削船を建造しペトログラスに長期で貸し出す事業。20年収入が確定している安定事業で、掘削事業全体の監督をするわけでもないのでリスクは限定されているほか、ペトログラスは『事故は起きない』と明言している。メキシコの事故は注意深く見守り今後の対応を検討していく」と回答。内藤専務は「不動産事業の収支は売上高が120億円で経常利益が49億円だったが、物流をコアビジネスとしているので、不動産事業の規模拡大には慎重な姿勢で臨んでいる。リスクの少ない安定収益源として育てていくつもり」とした。

5番目の質問は、社外取締役の岡本行夫氏と翁百合氏に抱負を求める一方、採決を挙手にして欲しいとの提案。岡本氏は「外の感覚を持ち込んで日本郵船をよくしていきたい。100年に1度の構造変化が世界的に起きている。日本郵船は開かれて自由闊達な発言ができ、前向きの長期ビジョンをもっている。自らの知見を生かしていきたい」とした。翁氏も発言の機会に感謝したうえで、「微力ながらさまざまな意見を述べさせていただきお手伝いが出来れば。特に環境問題についてはCSRの視点で見ていきたい」とし2人とも会場から拍手を受けた。挙手については、工藤社長は「参集した株主は口数が異なるので挙手に適さない。今日は従前どおりの拍手ということでご理解いただきたい」とし、会場から拍手を受けた。

6番目の質問は、今期経常益650億円の業績計画達成の自信と、燃料油の前提、海賊被害の現状について。工藤社長は業績見通しについて、「今現在は想定範囲内。コスト削減で上振れさせるべく頑張っている」とした。内藤専務は「1トン当たり500ドルを想定。今は450ドルくらいで利益には良い影響が出る」とし「1ドル変動で15億円の減益要因」と言ったあと、しばらくして「10ドルで20億円」と言い直した。諸岡正直専務は「海賊は頭の痛い問題。アデン湾を通過する船をハイリスク船と位置づけ、原則、自衛隊に護衛を依頼している。海賊対策の一環として割増保険料を年間5億円支払っている」と回答した。

7人目の質問は為替感応度について。内藤専務は「海運の運賃はドル建て。ただユーロが安いと欧州航路の荷動きに影響してくる。為替前提は今期・中期とも1ドル90円で、感応度は1円円高で15億円の減益要因」とした。最後は経営委員の位置づけ、経営委員会の会合頻度について。内藤専務は「経営委員は執行役員に当たる。小案件について決議しているほか、社外取締役は経営委員ではないので参加していない。経営委員会は毎週木曜日に開催し、月末の取締役会に決議内容を上げている」と回答した。

(写真は2月18日の東洋経済の単独インタビュー時のもの)

(山田 雄一郎 =東洋経済オンライン)

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