ひろゆき氏「アマゾンが米国を変える」と語る訳 生鮮食品配送とクラウドサービスに見る狙い

拡大
縮小

また、ネット通販だけではなく、今後もアマゾンはサービスを拡大し、僕たちの生活に深く入り込んでいくでしょう。それを実感する出来事がつい最近ありました。

「稼ぎ頭」のクラウドサービス

自宅のお掃除ロボットを動かそうとしたら、なぜか操作用のスマホアプリに接続できません。「故障かな?」と思い、いろいろ調べていくと、原因はアマゾンのクラウドサービス「AWS」で障害が発生したことでした。アプリがAWSを利用していたため、AWSの障害により、アプリが動かなくなってしまったわけです。

実はAWSはアマゾンの稼ぎ頭になっていて、売上高は業界2番手のマイクロソフトの倍以上になっています。ゲームアプリやキャッシュレス決済システム、IoT家電など、ありとあらゆる製品・サービスに利用され、僕たちの生活を支えています。

「アマゾンなんて、ネット通販とプライム会員サービスでしか関わりがない」と思っている人も多いでしょうが、アマゾンのAWSは、まったく関わらずに生きていくのが難しいほど浸透してきているのです。

アマゾンを将来脅かすような製品やサービスを提供する企業が出てきたとき、アマゾンは大きく分けて二つの戦略をとります。

一つは、その企業より〝安い値段で〞類似の製品やサービスを提供することです。値段が安すぎて赤字だったとしても、アマゾンはほかの事業でカバーできるので痛くもかゆくもありません。消費者は少しでも安いものを選ぶので、最初に提供していた企業はシェアを落とし、事業が立ち行かなくなってしまいます。

その企業が撤退したあと、利益の出る値段に引き上げれば、アマゾンの独占市場の完成です。

もう一つは買収をすることです。脅威となりそうな企業は正面から戦わずに買収して、アマゾン内へと取り込んでしまうのです。

そして実は企業買収はアマゾンにとってメリットしかありません。

たとえば、先ほどのホールフーズの買収金額は、137億ドル(約1兆5000億円)にもなりましたが、買収の発表によりアマゾンの株価は2.97%上昇し、時価総額は140億ドル以上増えました。買収金額以上に時価総額が増加、つまり、ただでホールフーズを買収できたのです。

たとえ、巨額の買収だったとしても、将来性のある企業を買収したことを市場が評価してくれれば、株価が上昇します。

次ページアマゾン経済圏の拡大は悪いことか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT