ヤバい「1万円高級寿司」の裏側【前編】 ここが惜しい!ミシュラン店との「差」を徹底解説

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お酒は好みでOK、ネタは「味が淡泊→濃厚→脂の乗ったネタ→巻き物」がセオリー

(着席して)

河岸:日本酒、ぬるめの燗がいいんだけど、何がおいしい?

職人:だったら、「北の勝(かつ)」があります。

河岸:根室ね、じゃあそれでお願い。

N君:すみません、いきなり会話についていけないんですけど(泣)。

河岸:「北の勝」という日本酒で、蔵元が北海道の根室にあるの。この酒はあまり北海道外には出回らないから、置いてあったらなかなかの店だとこちらは思うし、向こうもこっちがその日本酒の蔵元を知っているってことで、「やるな」と思うわけ。それが今の会話。

N君:なんか、いやらしい会話だなぁ(笑)。

河岸:あはは。北海道出身だから知っているだけだよ。地方に行ったら、お店の人にいろいろ教えてもらうよ。知ったかぶりすると、おいしいものを逃すからね。

N君:なぜ、ぬる燗なんですか? 今日は暑いのに冷酒にしないんですか?

河岸:日本酒のおいしさがいちばんわかるのは、ぬる燗だからね。冷酒にしても味の差は出るけど、その差が小さくなってしまう。

N君:なるほど。寿司屋に来ても、別に1杯目はビールでもいいんですよね……?

河岸:もちろん。「刺身を食べるときは日本酒で、寿司に進んだらお酒は切り上げる」というのが個人的には好みだけど、別に決まりがあるわけじゃないし。赤ワインと合わせる銀座の高級寿司屋もあるしね。

N君:肝心のお寿司ですけど、何を頼めばいいのか全然わからないです。以前、近所の普通の寿司屋でサーモンを頼んだら、「うちは江戸前だからサーモンなんてないよ」と怒られましたし(笑)。

河岸:はは。最近はサーモンを好きな人が多いけど、あれは回転寿司の影響だろうね。サーモンなんて、ほとんど輸入品だから、どの店で食べても味はそんなに変わらないんだけどね。だから、回転寿司でも人気メニューなんだろうけど。

N君:そういうトラウマがあるので、今日は河岸さんに全部おまかせしますよ。こういうのって何か順番があるんですよね?

河岸:回転寿司のときとは威勢が違うね(笑)。順番でいえば、刺身やつまみから始めて、握りに移っていくのが一般的だよね。ネタは、最初は味の淡白な白身魚などから始めて、中盤にウニやイクラ、ボタンエビなどの味が濃厚なもの、後半にマグロやトロなど脂の乗ったもの、そして最後に巻き物で締めるというのが一応のセオリーではある。

N君:「味が淡泊→濃厚→脂の乗ったネタ→巻き物」がセオリーのわけですか。いきなり好物のウニやトロを頼んだら、ダメなわけですね(笑)。

河岸:まあ、でも、そんなに難しく考えなくても、好きなものから頼めばいいよ。今日はホタテの刺身からもらおうか。

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