なぜ起業に「アートのマインド」が必要なのか? 孫泰蔵が実感する時代の変化とマスコミの問題

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特に、若い世代の起業家を見ていると、自分たちの事業の意味や、自分が立ち上げる意味を、結構考えています。僕も「自分たちの世代のほうがすごかった」と言いたい心情がありますが、客観的に見て、明らかに今の子たちのほうが、社会的な課題を解決したいとか、意味のあるものを作りたいという思いが強く、実際出してくるもののレベルも上がってます。僕たちの世代なんかよりもはるかに素晴らしいです。

むしろ日本の起業環境に関しては、日本の若者は内向き志向になっているなどと平気で発信するメディアの認識が遅れていることが問題だと僕は感じています。

誰もGAFAを気にしていない

どことは言いませんが某経済メディアなどは相変わらず「GAFAがすごい」「次のユニコーン企業を目指せ」みたいなことを言い続けています。

でも正直に言うと、「もう、そのパラダイムって終わってるんだけど」という気持ちが僕たちにはすごくあります。そうじゃないところで、新しい価値を生み出しつつある子たちが今続々と生まれているのに、彼らの目線というか、パラダイムは、相変わらず「巨大企業」「急成長企業」「売り上げや利益がいくら」「EBITDAがどれぐらいあるか」といった基準、いわゆるマッチョな基準でしか見ていない。その基準で見て、「それに比べると、あまりに小粒だ」とか平気で言っているのですが、僕に言わせれば「その見方自体が古いんだけど」って感じです。それって、高度経済成長期の価値基準ですよ。「大きいことはいいことだ」みたいな。そういえば彼らは今でも時価総額ランキングとか好きですよね。

今の若い世代の起業家は、もうそういう古い価値観にとらわれていません。だからそういうベクトルに憧れてもいないし目指してもいない。僕の周りにも「GAFAみたいになりたいんです」なんていう人はあんまりいなくて、それよりも、本当に意味のあるものを作り出したいからやってる子たちが多いんです。

その点では、日本の将来は明るいと思っています。

孫 泰蔵 Mistletoe Founder

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そん たいぞう / Taizo Son

日本の連続起業家、ベンチャー投資家。大学在学中から一貫してインターネットビジネスに従事。その後2009年に「アジア版シリコンバレーと言えるようなスタートアップ生態系をつくる」という大志を掲げ、ベンチャー投資活動やスタートアップの成長支援事業を開始。そして2013年、単なる出資に留まらない総合的なスタートアップ支援に加え、未来に直面する世界の大きな課題を解決するための有志によるコミュニティMistletoeを設立。

社会に大きなインパクトを与えるスタートアップを育てることをミッションとしている。

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