石破茂氏、自民総裁選「不出馬」で生き残れるか 河野氏支援、安倍&麻生氏の反発で両刃の剣に

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しかし、ここにきての総裁選全体の動きをみると、河野氏にとって石破氏の支援は「まさに両刃の剣」(閣僚経験者)との指摘が多い。「石破さんと組んだら、安倍さんと麻生さんが本格的に河野つぶしを仕掛ける」(同)とみられているからだ。

岸田派を除く党内各派はそろって事実上の自主投票を選ぶ構えだが、安倍氏が強い影響力を持つ党内最大派閥の細田派(96人)と第2派閥の麻生派(53人)がそろって反河野を鮮明にすれば、河野陣営は議員票(383票)で圧倒的に不利な立場に追い込まれる。

議員票の動向は当然、党員・党友票にも影響があるため、「圧倒的な党員・党友の支持を得て、1回戦で決着をつける」との戦略は破綻しかねない。しかも、野田聖子幹事長代行が16日夕、推薦人が確保できたとして出馬表明した。

「決断できない政治家」のイメージに

野田氏の参戦で、「現状の三つ巴以上に得票が分散し、ますます決選投票の可能性が強まる」(自民幹部)ことは間違いない。

石破氏はそうした状況の変化も意識したうえでの「撤退・河野氏支持」とみられる。だからこそ、森友問題まで持ち出して「長老支配打破と世代交代による自民党再生を国民にアピールする一世一代の賭け」(自民若手)に出たとみられる。

しかし、不出馬会見で「最後の最後まで迷った」と心情を吐露したように、菅義偉首相の唐突な退陣表明以来、出馬を模索し続けた石破氏の迷走が「国民の間でも決断できない政治家との負のイメージとなった」ことは否定できない。

自身が創設した石破派(17人)では出馬慎重論が相次ぎ、派閥としても自主投票を選択せざるをえなかった時点で「石破氏は終わった」との声も出る。石破氏は不出馬会見の最後に再起への意思を問われると、「自分が必要とされる可能性がある限り、研鑽を続ける」と自らに言い聞かせるように語った。

しかし、自民党内では「河野政権になれば世代交代が一気に進むし、河野氏が敗れれば、石破氏も一緒に消えるのが運命。もはや浮かび上がる可能性はほとんどない」(自民長老)との厳しい声が広がる。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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