ホンダ「ドル箱不在」のエンジン屋が直面する課題 「脱エンジンの大胆目標」掲げた三部社長に聞く
――ホンダには2輪もパワープロダクト、いわゆる汎用製品もあります。
「それらを含めてホンダはエンジン付きの商品を年間3000万基も売っているので、これらすべてで電動化を進めていきます。ただ、それぞれの技術的課題がちょっと違うんです。
2輪は重くなってしまうと、2輪の意味がなくなってくる。限られたバッテリーの搭載量の中で、どういう2輪をつくるのか。ただ単にバッテリー積んだってわけにはいかなくて試行錯誤しているところです。
パワープロダクトは世間のほうが電動化の動きが早く始まっていて、若干後追いになっています。たとえば芝刈り機などは電動化が始まっていますので、遅れることなくやっていきます。大きいのはなかなか難しいですけど、ちっちゃいもの、人が操作するものは皆、すぐバッテリーに置き換わっていっちゃうんですよね」
バッテリーの生産拠点はどうする?
――そのバッテリー。三部社長が示されたロードマップの通りに進めるにはバッテリーの調達がひとつ課題になりそうです。現在、EVについてはGM(ゼネラル・モーターズ)とのアライアンスがありますが、それ以外のところでもたとえば専業メーカーとの提携などは視野にあるのでしょうか。
「北米は、GMとLG科学が組んだ会社(Ultium Cells LLC)がありまして、われわれはそれをGMから供給を受けるかたちになっていて、北米は当面そこを中心に考える。中国はCATLに出資をして、研究開発領域から一緒にやっていますので、中国やアジアは、ここですね。
日本は日本で考えていて。パナソニックさんがトヨタになってしまったので(2020年にトヨタとパナソニックの合弁会社「プライム プラネット エナジー&ソリューションズ」を設立)、なかなかね、トヨタさんから心臓のバッテリーを買うのもなと……(笑)。買えばいいじゃんという人もいるんですけども、それは別ルートを作らないといかんと思って、今やってるというか話をしています。
バッテリーの生産拠点が日本にないというのも、ホンダの損得じゃなくて、やはりEVのキー部品ですので考えないといけない。今は1社。日産さんにはAESC(オートモーティブエナジーサプライ)がありますけど小さい。グローバルな競争力を持つ2社が並び立つくらいなかたちが望ましいのかなと思っているところがありまして。ひとつはトヨタさんならば、うまくもうひとつをということは考えています」
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