ホンダ「ドル箱不在」のエンジン屋が直面する課題 「脱エンジンの大胆目標」掲げた三部社長に聞く

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――電動化の目標はあくまでメーカー側の理屈で、結局はユーザーに選んでもらわなければいけないわけですが、ホンダのEVやFCVは他社にどう差をつけていきますか?

「EVでは正直、走る、曲がる、止まるで違いを出すのは難しい。ですから『そのクルマが欲しい』と思ってくれるような価値が、EVには特に要るのかなと。『ホンダe』はそれを探るためのクルマで、最初に売り出すEVということもあって当時できるもの全部入れたんです。

でも、今見るともう目立たない。時代の進化が速いですね。とは言え、将来の方向性を示すという意味では、ビジネスはともかく価値が認められた部分はあったと思います。次もまた同じテイストで出るかというとわからないですけど、もっとチャレンジングな方向も含めて、いま考えているところです」

みべ・としひろ/1961年生まれ。1987年広島大学大学院工学研究科修了、本田技研工業入社。2014年に執行役員。2019年本田技術研究所社長。ものづくり担当取締役を経て、2021年4月より現職(写真:Shoko Takayasu/Bloomberg)

――ホンダeは例外でしたが、ホンダが楽しいというと、すぐにタイプRやNSXのようにやりすぎるきらいがありますので、もっと身近で、楽しいクルマが欲しいですね。

「普通のお客さんが買えるようなところでやりたいですね」

軽EVは重要だが難易度もいちばん高い

――その意味では、これも発表にあった軽EVは重要と言えそうです。

「日本の電動化というかEV化が進むかどうかは、軽自動車がEV化するかどうかだと思います。そこでうまく商品化できれば、一気に広がる可能性がある。ですので重要なキーだと思いますが、難易度もいちばん高い。

売価がとれませんし、その中で航続距離、バッテリー搭載量含めて、どれぐらいのクルマをつくるのがいいのかは、まだ(見えません)。地方でガソリンスタンドが減っているのは事実ですし、そういった部分でEVのほうが利便性は高いとは思いますが、じゃあどれぐらい距離走れればいいのか。

また、軽は乗用もありますけど商用もあっていろんな使い方をされているので、どれぐらいのクルマに仕上げたらいいのかというのは、まだ「これだ!」とならない。いっぱい走れれば越したことはないですけど、残念ながらそうはいかなくて。たとえば航続距離500kmの軽EVというのは無理なわけで、まずどの辺りが落としどころかなって考えています」

――あるいは軽EVはアジアなどでも販売していける可能性が生まれるのではないですか。

「まさにそういうふうに思っています。先進国がEV化されて、その後にアジアがEV化されていくということはなく、多分アジアも大都市圏を中心に世界はほぼ遅れなく電動化の波が来るんじゃないかって。その意味では2輪も、そういうことは頭の中にはあって。CO2に国境があるわけじゃないので、先進国で減らしてアジアでいっぱい出してたら何をやってるのかわからないですから」

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