ホンダ「NSX」和製スーパーカー終売の意味とは スポーツのホンダ終焉、次世代はBEVなのか?

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最終モデルとして登場したNSXタイプS(撮影:尾形文繁)

ちなみに2代目NSXの車体は、高剛性の押出成形アルミ材を中心に、樹脂やカーボンファイバーなどの複合素材を用いる手法により、高い剛性と軽量化を実現している。近年、こうした複合素材による車体作りは、EVの車両重量を軽くし、航続距離を延ばすために注目されている。NSXは、そうした新しい自動車製造のトレンドをいち早く取り入れたモデルでもある。

いずれにしろ、NSXに代わる次期スーパースポーツについては、否定こそしなかったが、現時点では決まっていないというのは本音だろう。ホンダは、高級セダンの「レジェンド」も2021年で販売を終了するため、NSXもなくなれば、フラッグシップが不在となる。そう考えると、なんらかの最上級モデルが今後出てくる可能性はあるが、それが必ずしもNSXのようなスーパースポーツになるとは限らないだろう。それは、ホンダ自体の変化もあるが、時代のトレンドも大きく関わるからだ。

ホンダのスポーツカー、今後のゆくえは?

NSXが開発され誕生した1980年代から1990年代は、先述したように、自動車の販売にモータースポーツが大きく関わってきた。だが、現在では、スポーツカーよりもSUVが売れる時代だ。例えば、かつてマツダは「RX-7」などスポーツカーの印象が強かったメーカーだ。だが、現在はSUVの「CX」シリーズを主軸に据えることで、ブランドイメージを高級路線に変更している。ホンダも、次期フラッグシップをSUVにする可能性は十分にある。しかも、「脱エンジン宣言」をしたからには、BEVまたはFCVのいずれかになるのは間違いないだろう。FCVは水素を燃料とするため、補給するステーションの数が少なく、インフラの問題はあるが、航続距離や充填時間はBEVに勝る。

果たして、2代目NSXの最終モデルは、ホンダが培ってきたスポーツイメージの終焉を意味するのだろうか。現在、ホンダは、軽自動車の「N-BOX」やコンパクトミニバンの「フリード」の販売は好調だが、コンパクトカーの「フィット」など、その他の主力車種には苦戦中のモデルもある。「100年に1度の変革期」といわれる自動車業界の厳しいサバイバル戦が続く中、次の一手を打つためにも自社ブランドの再構築は急務だろう。今後、同社の新たな戦略や動向が非常に興味深い。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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