ホンダ「NSX」和製スーパーカー終売の意味とは スポーツのホンダ終焉、次世代はBEVなのか?

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世界限定350台、日本では限定30台で受注を開始したNSXタイプS(撮影:尾形文繁)

今回発表された「NSX タイプS」は、その2代目をベースに、これまでのNSXを超えるパフォーマンスとデザインを追求して開発された特別仕様だ。世界限定350台、日本では限定30台の受注受け付けを9月2日より開始しており、2022年7月に販売する。

2020年モデルからさらなるパワーアップが図られた3.5L・V型6気筒ツインターボユニット(撮影:尾形文繁)

エンジンは、ターボの過給圧を5.6%、インジェクターの燃焼噴射流量を25%、インタークーラーの放熱量を15%それぞれアップすることでハイパワー化を実現。最高出力を507psから529psに、最大トルクを56.1kgf-mから61.2kgf-mに増大した。

また、ハイブリッドシステムのモーターや各ユニットにも改善が施された。前輪に装備する2つのモーターからなるユニット(TMU)は、ギアの回転比率を20%ローレシオ化。リチウムイオンバッテリーとモーターなどの制御ユニットが一体化した独自の「IPU(インテリジェントパワーユニット)」は、バッテリーの使用可能容量を20%アップするとともに、バッテリーの出力を10%引き出すことで7psアップに貢献する。これらパワートレインの進化により、トータルのシステム最高出力を従来の581psから610psに、システム最大トルクも65.9kgf-mから68.0kgf-mへとアップさせている。

スーパースポーツにふさわしいスタイリング

NSXタイプSのサイドシルエット(撮影:尾形文繁)

外観のデザインは、空力特性を向上させるとともに、よりアグレッシブなフォルムを演出する。フロントバンパーはセンター開口部を拡大することで、ダクト内へより多くの走行風を送り冷却効果を向上させた。開口部左右の形状は立体的で鋭角なデザインにすることで、スタンダード車以上のレーシーなフォルムを実現する。

機能美あふれるカーボン製リアディフューザー(筆者撮影)

また、リアバンパーには、カーボン製ディフューザーも採用する。高速走行時に車体を地面に押しつける高いダウンフォース効果を実現するとともに、よりスーパーカーらしいリアビューの実現に貢献する。

ちなみに車体サイズは、全長4535mm×全幅1940mm×1215mm。スタンダード仕様の2020年モデルと比べ、全長を45mm延長、全幅や全高は同寸だ。また、車両重量はスタンダード仕様の1800kgに対し、タイプSは1790kgと10kgの軽力化を実現。オプションのカーボンセラミックブレーキローター装着車では、1770kg(スタンダード仕様1780kg)と、さらに20kgも軽くなる(タイプSのデータはすべてホンダ社内測定値)。

新デザインの5本スポークホイール(撮影:尾形文繁)

パワートレインや車体の空力特性の進化に合わせ、走行性能のアップデートも行われた。例えば、アルミニウムを用い軽量化を実現したサスペンションは、搭載される「アクティブ・ダンパー・システム」を改良。電磁コイルによって瞬時に減衰力を可変する磁性流体式可変式のダンパーは、減衰力の使えるレンジを拡大し、「より動く」特性にすることで操縦性の向上に貢献する。また、新デザインの5本スポークホイールによりワイドトレッド化も図り、グリップ性能を向上した専用設計のピレリ製タイヤなども採用する。

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