米の豪雨は異常気象でなく定期的起こる気候変動 過去の常識通用せず米北東部で40人以上が死亡

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ハリケーン「アイダ」から勢力を弱めた熱帯低気圧の影響で、米北東部では豪雨により地下鉄の駅が浸水したり道路が冠水したりした。2日に水は引いたものの、天候を巡る過去の常識がもはや通用せず、ニューヨーク州やニュージャージー州の住民は自らの脆弱(ぜいじゃく)さを突きつけられた。

災害によって住民の生活や経済が脅かされる未来

遠く離れたルイジアナ州ニューオーリンズに上陸したアイダがもたらした豪雨によって、北東部全体で少なくとも40人が死亡した。米最大の都市であるニューヨーク市はまひ状態に陥り、生命線である公共交通網がストップ。繰り返される災害によって住民の生活や経済が脅かされる未来を想起させた。

2012年にハリケーン「サンディー」がマンハッタン南部を襲った後、ニューヨーク市とその郊外は電力網や地下鉄、トンネルを建て直したものの、再びまひ状態に陥った。道路は閉鎖され、通勤列車の運行が停止したほか、多くの航空機が欠航となった。ただ、今回はインフラへの持続的な被害ははるかに小さい様子だ。

浸水したセントラルパークの噴水 

公益事業追跡ウェブサイトのパワーアウテージ・ドットUSによると、2日正午までの世帯と企業の停電は17万にとどまっている。能力は縮小されたものの、空港は営業を続けた。

しかし、今回の豪雨と犠牲者の数は、気候変動に伴い、かつては異常気象と考えられていた天候が定期的に生じ、沿岸にある全ての経済中心地の存続を脅かす可能性を再認識させるものだ。

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