佐々木則夫・東芝社長--延長線上で考えずに発想変えて挑戦していく
成功モデルという過去の栄光が邪魔している面もあったろう。もう一度、ダイナブック時代のオリジナリティを思い出さないといけない。
■投資基準はROI 競争力の源泉に
--「選択と集中」という意味で東芝は、半導体と原子力に注力しているが、両事業の時間軸が違いすぎて、経営が大変ではありませんか。
私自身が専門知識や技術を完全に理解することはできません。ですが、ちゃんと経営はできています。投資を判断する順番や基準は、半導体も原子力も同じですから。
NANDの投資では、投資効率を高めるように、たくさん口出ししています。半導体の投資案件のサインは、事業部が求めるスピード感に遅れたことは1回もない。
--投資基準をどのように決めているのですか。
ROI(投下資本利益率)が中心です。分母を小さくしてリターンが得られれば、競争力の源泉になる。
半導体の投資では、これまで投資時期が違う案件は、別々の回収期間を考えていましたが、同じ技術の延長線上で同じ製品を作っているなら、包括的に投資回収の効率性を考えて評価する形に変えました。こういった「包括投資」と、一個一個の単位で投資効率を判断していく「原単位投資」の考えを重視しています。
また、半導体工場の建設費や運転経費ではサムスン電子をベンチマークにして、それよりも投資対効果を高くするようにやっています。7月に着工するフラッシュメモリの第5棟は、面積がほとんど同じの第4棟より2ケタ%も安く、建物や空調への投資ができます。