ある生活習慣病をめぐる専門家へのインタビューだったと記憶している、そのインタビュアーが、多少苛立った様子でこんな趣旨の質問をしていた。
――いやもう、その「3点セット」については聞き飽きました。だって結局は皆さんそればかり言う。それは十分わかってるんです。わかってるけどできないからこそ、こうしていろいろ聞いているんじゃないか。だからもうその話は持ち出さず、別の解決方法を示してほしい……
いやー、ほぼ逆ギレ。申し訳ないですが、その様子を想像して思わず笑ってしまいました。でもこれ、間違いなくその方の心からの本音でありましょう。いや多分その方だけじゃない。これは世のほとんどの人の本音なのではないだろうか。
なるほど。みなさんわかってるんですよね。わかってるけどできない。だから他の方法を知りたいのだ。結局はここなんである。ここが健康という巨大市場誕生のモトなんである。
3点セットという、誰もが知っていて、特段のお金もかけずに誰でもできるはずのことが、なぜか自分には「とてもできない」と多くの人が思い込んでいるから、誰も知らない、画期的な、魔法のような、素晴らしい健康情報を誰もがこぞって求めまくっているのだ。
ここに永遠の巨大市場が誕生し、日本経済がくるくると回るんである。めでたしめでたし……って、それでいいんだろうか? それで皆様本当に健康になれるんだろうか? 何しろこれだけ多くの専門家が口を揃えて結論は一つと言っているのだ。
確かに別の方法はないわけじゃなかろうが、普通に考えて、それは代替手段である。亜流である。亜流は本流にはかなわない。だからこそ尽きることない「亜流情報」が永遠に求められ出され続けているのである。
そうまでして、多くの人がこの3点セット、すなわち「健康的な生活」を拒むのはなぜだろう。
もちろん、人はいろんな事情を抱えて生きている。一刀両断にすべてを決めつけることはできない。
でも僭越ながら、私にはその理由がわかるような気がするのだ。
実は自分自身ができなかった
だって、かつての私自身がまさにそうだったから。健康的な生活をするべきなのは十分わかっていた。でもそれがムリだからこそ、別の方法が知りたかった。
なぜ無理なのかといえば、仕事がめちゃくちゃ不規則だとか、ストレス解消には夜の飲み会(暴飲暴食)は欠かせないとか、言い訳はいくらでもできたけれど、究極のところを言えば、その理由は一つだったのだと思う。
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