西武、「USJ復活の立役者」に託す遊園地の再生 西武HD後藤社長✕刀・森岡CEOスペシャル対談

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森岡:一方で、今回のゴジラ・ザ・ライドは、あの機械であのような動きができるとは当のメーカーさんすらわかっていなかった。山崎監督が作る映像の動きと機械をどうシンクロさせれば、お客様を興奮のるつぼに叩きこめるかということをゼロから考えて作った。ゴジラ・ザ・ライドはおそらく日本人がゼロベースから考えて開発した世界初のダークライド。しかも費用は何分の1も安い。西武さんと刀のみんなが誇りに思っている。

――続いて、夕日の丘商店街ですが、昭和というコンセプトの狙いや顧客ターゲットを教えてください。

森岡:私は高校生から20代前半まで4人の子供がいるが、この世代の人たちを狙っている。テーマパークの来場は男性ホルモンの分泌と完全に相関する。男性ホルモンは男性のほうが圧倒的に多いが、女性にも流れていて、分泌は年齢に応じて変わる。10~20代がピークで30代以降は緩やかに減っていく。

来場のカギは「男性ホルモン」

実は、このカーブはテーマパークの年齢別来場属性とまったく同じ。つまり、テーマパークが成功するかどうかは、「異性に会いに出かけたい」という人間の根源的な欲求を満たす価値を作れるかどうかにかかっている。その主役が10~20代だ。30代の来場者も多いが、これは男性ホルモンというよりも子供を連れて行かないといけないという理由がある。

ごとう・たかし/1949年生まれ。1972年東京大学経済学部卒業、第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。2004年みずほコーポレート銀行副頭取。2005年西武鉄道特別顧問、社長。2006年から現職(撮影:尾形文繁)

需要はこのカーブの中にあるので、10~20代が興味を持つコンセプトでないといけない。昭和をテーマにしたことで、「熟年層をターゲットにしてうまくいくのか」と不安に感じた人も多いと思うが、その時代を知る世代が懐かしがる昭和というよりも、エネルギーとパンチを重視して、若者が面白そうと感じてもらえるように作ってある。

一例が昭和の黒電話。見たこともないのに若者が「エモい」と懐かしがる。昭和というコンセプトが若者に受けることは何度も調査してわかっていた。昭和を実際に体験したさらに上の世代も一気通貫で取れるという計算もあったが、それは主従でいえば従のほう。あくまでターゲットは若者。熟年層を狙ったテーマパークで成功するのは難しい。

――後藤さんは、こうしたコンセプトを初めて森岡さんから聞かされたとき、どう思いましたか。

後藤:面白いと思った。今、こうしてあらためて話を聞いても面白い。われわれにはない発想だよね。森岡さんの発想は非常にパワフル。われわれとはまったく次元が違う。だから絶対引き受けてもらいたいと思った。

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