データが証明「YouTubeに食われる放送局」の実態 ネット接続によって変わるテレビの使い方

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このような環境変化はテレビ受像機の利用形態にどのような変化をもたらすだろうか。

これまで見てきた放送、アプリの時間帯ごとの利用率の推移からは、テレビ受像機という同じデバイスにおいても、放送が持つリアルタイム視聴などの特性と動画配信サービスが持つオンデマンド視聴などの特性のどちらが好まれているかが、時間帯によって異なることがうかがえる。

放送がアプリに対して特に優位なのは朝7~8時台、昼12時台、夜19~20時台といった時間であり、アプリが放送に対して接近、もしくは勝っているのは10時~11時台、14時~17時台、深夜だった。

17時ごろまではリビングに1人いて、ユーチューブで自分が好きなコンテンツを見る。18時ごろから食事の時間になるにともなって、家族がリビングに集い、一緒に見るのに適した放送にチャンネルを切り替える。こうした風景が、テレビ受像機の新しい利用形態として想像できないだろうか。

放送局や動画配信プレーヤーはどう戦うべきなのか

食事の時間帯を中心に家族の共有物、リビングの大画面として利用されながら、ときにはPCやスマホのように個人がその嗜好に応じた配信動画を視聴するためのデバイスとしてもさかんに利用される。これが放送、アプリという異なるサービスが混在する新しいスマートテレビの利用形態として考えられる。

新たなビジネスの拡大先としてテレビ受像機をとらえる動画配信プレーヤーも、それを迎える立場の放送局も、このように複雑化するテレビ受像機の利用形態を十分理解しながらサービスを構築する必要があるだろう。

動画配信プレーヤーにとっては、いまだ放送が優位なゴールデンタイムなどの時間帯で存在感を高めていくためのコンテンツや配信方法が求められている。

また、放送局にとっては、すでにアプリの利用率が放送の利用率に接近する一部の時間帯においてTVer(ティーバー)などの動画配信動画アプリを放送と併用することで、放送局としての存在感を維持していく戦略の検討が求められているのではないだろうか。

山津 貴之 インテージ メディアアナリスト

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やまつ たかゆき / Takayuki Yamatsu

2014年に大学卒業後、インテージへ入社。2017年からスマートテレビ視聴ログを用いた商品である「Media Gauge」の新規事業開発を担当。データベースや調査設計等の基盤構築から、視聴データ分析による広告主や放送局等での活用支援まで幅広い領域に携わる。2021年からインテージグループR&Dセンターおよび在学中の筑波大学大学院ビジネス科学研究群で、スマートテレビでの放送とアプリの視聴実態について研究を開始。研究成果は学術雑誌”Journal of Broadcasting & Electronic Media”に掲載。

 

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