400PS「新型フェアレディZ」車好きが歓喜する訳 電動化の時代にあえて大排気量エンジンで勝負

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シートは、GT-Rの開発で培ったノウハウを活かし、ホールド性とフィット感が向上されたという。シートバックにスエードを多用することで、身体の横ブレを抑えて快適なドライブを実現するとともに、コーナリング時の身体の動きも抑制してくれると説明された。

インテリアカラーは、グラファイト、レッド、ブルーの3色を設定。特別限定仕様車「Proto Spec」では、インストルメントパネルのステッチをはじめ、室内の随所に黄色のアクセントが施されるなど、スポーティーさと上質さが高い次元で両立された印象だ。

イエローのアクセントが入る「Proto Spec」のインテリア(写真:日産自動車)

なお、コンソール中段にはApple CarPlayやAndroid Autoにも対応する8インチ、または9インチのタッチスクリーンディスプレイが配置され、NissanConnectやWi-Fi ホットスポットなども使用可能となっている。

「手の届く夢のスポーツカー」であるために

事業構造改革として2020年11月に打ち出した「NISSAN NEXT」で、「18カ月の間に12の新型車を投入すること」や、「2023年度までに年間100万台以上の電動化技術搭載車を販売すること」「日本では電気自動車2車種とe-POWER搭載車両4車種を追加し、当社の販売の電動化率を60%以上とする」などの目標を掲げる日産。

しかし、新型Zにはハイブリッドシステムとはじめとした電動化技術は一切、投入されなかった。これは、世界の流れに逆らってでもこだわり抜いた結果だろう。

新型Zも「手の届く夢のスポーツカー」として憧れの1台になるのか(写真:日産自動車)

世界各国がカーボンニュートラル社会を目指し、ガソリン車の新車販売禁止の方針を次々と決定していく流れの中、ギリギリともいえるタイミングで発表された新型Zは、多くのZファンやスポーツカーファンにとって、ビッグニュースとなったはずだ。

電動化のみならず、自動運転や無人運転の実用化が進む中、こうした自動車メーカーのこだわりこそが、ファンの心をつかみ、メーカーが存続していくためのカギとなるのではないだろうか。

価格は未発表ではあるものの、「手の届く夢のスポーツカー」であるとすれば、現行モデルの約400万~650万円から大幅な価格アップはないと予想できる。

2021年は同じFRスポーツカーであるトヨタ「86」、スバル「BRZ」のフルモデルチェンジも発表されたが、こちらも電動化は行われていない。この2台とともに、新型Zの存在がこれからの日産に、そして電動化一辺倒の自動車市場にどのような影響を与えるのか、興味深いところである。

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先川 知香 モータージャーナリスト

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さきかわ ちか / Chika Sakikawa

初めて見たバイクレースでマシンをバンクさせながら膝を擦って進入していくコーナリングを自分もやってみたいと思ったのをきっかけに、マシンを操ることの面白さを知り、その面白さを多くの人に伝えるべくモータージャーナリストを志す。現在の対象は2輪から4輪までと幅広く、Web や紙媒体で執筆中。愛車は Kawasaki Z250 とGASGAS、TOYOTA86 MT 仕様。休日は愛車でのサーキット走行やトライアルにも挑戦中で、公私共に乗り物漬けの日々を送る。

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